Intelは年次イベント「Intel Vision 2024」において、同社のAIアクセラレーター「Gaudi 3」や、データセンター向け「Xeon 6プロセッサー」など生成AIに関連する新製品を発表した。
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Intelは2024年4月9日(米国時間)、年次イベント「Intel Vision 2024」において、オープンかつスケーラブルな製品群による包括的なエンタープライズ向けAI(人工知能)戦略を公開した。これには、同社のAIアクセラレーター「Gaudi」の最新世代となる「Gaudi 3」や、データセンター向け「Xeon 6プロセッサー」などが含まれる。
Gaudi 3は、AIの学習処理と推論を支援するIntelの最新AIアクセラレーターだ。Intelによると、24の200ギガビットイーサネット(GbE)ポートが統合されており、柔軟でオープンスタンダードなネットワークを提供する。前世代の「Gaudi 2」と比較してメモリ帯域幅は1.5倍、BF16の演算処理能力は4倍になるという。
Gaudi 3ソフトウェアは、PyTorchフレームワークを統合し、生成AI開発者にとって最も一般的なHugging Faceコミュニティが提供するAIモデルに最適化する。これにより、生成AI開発者はハードウェアやソフトウェアの互換性を気にすることなく、モデルの開発、移植が容易になるという。
Intelは、2024年第2四半期に、Dell Technologies、Hewlett Packard Enterprise、Lenovo、Supermicroをはじめとするメーカー各社にGaudi 3を提供開始予定としている。
データセンター向けXeon 6プロセッサーは、組織のデータを活用するためのRAG(検索拡張生成)など、生成AIソリューションを実行するパフォーマンスと効率性を兼ね備えた製品だ。Xeon 6プロセッサーには、特定のユースケースに最適化された「E-cores」および「P-cores」の2種類のコアが用意されている。
E-cores搭載のXeon 6プロセッサー(開発コード:Sierra Forest)は、旧世代のプロセッサと比較して、ワット当たりのパフォーマンスを2.4倍に、ラック密度を2.7倍に向上。高い電力効率を実現し、サステナビリティ目標の達成を支援するという。
P-cores搭載のXeon 6プロセッサー(開発コード名:Granite Rapids)は、新たなデータフォーマット「MXFP4」に対応。第4世代Xeonプロセッサと比較して次のトークンを受け取るまでの時間を最大6.5分の1に低減し、大規模なAIモデルの性能向上を実現しているという。
Intelは2024年第1四半期中にXeon 6プロセッサーーを提供開始予定としている。
Intel Core Ultraプロセッサは、高性能なAI処理能力を提供することに特化した最新のクライアント向けプロセッサだ。1秒当たり100兆回超の処理性能(100TOPS)を有し、45TOPSを上回るNPU(ニューラルプロセシングユニット)を搭載する。ディープラーニングや機械学習タスクの高速化を実現しているという。
Intelは、Ultra Ethernet Consortium(UEC)と提携し、AIに最適化されたさまざまなイーサネットソリューションを発表した。この発表には、AI対応NIC(ネットワークインタフェースカード)、AI接続チップレットの「XPU」への統合、Gaudiプラットフォームベースのシステムなどが含まれる。
Tiberポートフォリオは、企業環境におけるソフトウェアやサービスの導入を効率化するビジネス向けソリューションだ。生成AIアプリケーションを含む幅広いビジネスアプリケーションに適用できるという。Intelは、2024年第3四半期にTiberポートフォリオの一般提供開始を予定している。
Intelは、Red Hat、SAP、VMwareなどと連携し、エンタープライズAI向けオープンプラットフォームを共同開発する意向を示している。このエコシステムが目指すのは、RAG技術を用いたオープンかつマルチベンダー対応の生成AIシステムの開発だ。Intelはこの取り組みの初期段階として、XeonおよびGaudiベースのソリューションを使用した生成AIパイプライン用レファレンスやフレームワークを公開している。
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