NTTデータ、GAFAMや中国企業に対抗する欧州のデータ共有基盤を、東京大学にあるデータスペースのテストベッドに実装 その狙いとは?Gaia-XのDigital Clearing Houseとは何か

今まで欧州圏のみで提供されてデータ共有基盤を東京大学にあるデータスペースのテストベッドに実装したとNTTデータが発表した。その狙いは何なのか。

» 2024年10月11日 10時30分 公開
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 NTTデータは2024年10月8日、「Gaia-X Digital Clearing House」(GXDCH)を東京大学にあるデータスペースのテストベッド(実証実験環境)に実装したと、Gaia-Xと共同で発表した。

そもそもデータスペースとは

 「データスペース」(Data Space)はEclipse Foundationで仕様策定が進められるデータ交換用プロトコル「Eclipse Dataspace Protocol」に基づいた、複数企業・組織間でのデータ交換基盤だ。

データスペースのイメージ図(IPAのWebサイトから引用)

 DX(デジタルトランスフォーメーション)推進やサステナビリティ、カーボンフットプリントなどの取り組みでは、企業内のデータ処理に加え、複数企業が持つデータの連携が必要とされ、企業をまたいだデータ基盤の実装が必要となる。実装時に発生する諸問題を解決するために最近注目されているのが、データスペースだ。

 IPA(情報処理推進機構)は、その特徴について、データ提供元がデータの権利を保持し続ける「データ主権」、共通のデジタル基盤を利用することで誰もがデータを活用することが可能な「公平性」、データ提供元と相互に信頼性を確保した上でのデータ転送/アクセスが可能な「相互運用性」などを挙げている。

データスペースの特徴(IPAのWebサイトから引用)

Gaia-Xとは、Digital Clearing House(デジタルクリアリングハウス)とは

 Gaia-Xは欧州の価値観に基づいた、安全で透明性のある連合型デジタルエコシステムを確立することを目指す取り組み。その使命は、準拠性、相互運用性、信頼性を備えたデータインフラとサービスのフレームワークを提供すること、イノベーションとデジタル主権を促進することだという。

 Gaia-XのClearing House(クリアリングハウス)は、データの安全性を保証する管理機能。Digital Clearing House(デジタルクリアリングハウス)はソフトウェアによってコンプライアンス順守の確認を自動化したものであり、既に欧州を中心とした300社以上の企業・団体が利用している。

 欧州が独自でデータ共有基盤の構築を進める背景には、米国のGAFAM(Google、Amazon.com、Facebook〈現社名Meta〉、Apple、Microsoft)や、Baidu、Alibaba、Tencentといった中国企業によるデータの独占に対抗することがあるという(参考)。

NTTデータがGXDCHを実装した狙い

 このような背景があるGXDCHが、東芝やソフトバンク、NTTコミュニケーションズ、NTTデータグループといった企業が参加する東京大学のデータスペーステストベッド上に実装された。今までは欧州圏のみで提供されており、NTTデータは「欧州圏以外の実装は初めて」としている。

 「東京大学と連携しながらこのGXDCHをテストベッド参加企業に提供し、欧州のトラスト技術の検証・評価に役立て、国内外におけるデータスペースの普及と国際連携に貢献する」(NTTデータ)

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