市場調査会社Omdiaは、2024年の世界サーバ市場では、売上高を飛躍的に伸ばした台湾のFoxconnが、Dellを抜いて首位に立つとの見通しを発表した。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
市場調査会社Omdiaは2024年12月18日(英国時間)、2024年の世界サーバ市場では、ODMダイレクト(※)事業を飛躍的に成長させた台湾のFoxconnが、Dell Technologies(以下、Dell)を抜いて首位に立つとの見通しを発表した。Dellは2018年にHewlett Packard Enterprise(以下、HPE)から首位を奪って以来、その座を維持していた。
(※)ODM(Original Design Manufacturer)は、他社ブランドでの設計・製造を担うメーカー。ODMがメーカーではなく、ユーザーに直接製品を販売することをODMダイレクトと呼ぶ。
FoxconnのODMダイレクトの急成長は、AI(人工知能)に最適化されたサーバに対する米国の大手クラウドプロバイダーからの需要拡大に支えられている。サーバ市場で米国以外の企業が首位に立つのはFoxconnが初めてだ。
「クラウドプロバイダーの最大手4社(Amazon Web Services、Microsoft、Google、Meta)のデータセンター設備投資は、2024年のデータセンター設備投資全体の半分近くを占める。競争の激しいサーバ市場への4社の影響力はさらに高まるだろう。また、AIアプリケーションの開発と展開がコンピューティングにおける優先事項となっているため、NVIDIAと連携しているベンダーが好調だ。こうした力学がFoxconnを首位に押し上げた」と、Omdiaのシニアディレクターを務めるブラド・ガラボフ氏は説明している。
AIに最適化されたサーバの需要急増の恩恵を受けているベンダーは、Foxconnだけではない。Quanta Cloud Technologies(QCT)、ZT Systems、Super Microも、2024年のサーバ売上高が2倍以上に増えている。Dellも、CoreWeaveやxAIのような戦略的な顧客を獲得した。さらに、AIコンサルティングサービスを含む専門サービスとレファレンスデザインの事業ポートフォリオも拡充している。ランキングの変動はあるものの、2024年はどのサーバベンダーも、市場の大幅な成長のおかげで大きな成功を収めている」と、Omdiaのシニアプリンシパルアナリストを務めるマノジ・スクマラン氏は述べている。
また、サーバ投資額全体の中で、上位企業の投資額の比重が高まっていることから、2024年はサーバ市場にとってユニークな年になりそうだ。Omdiaの推計によると、ユーザーの上位10社(サーバ投資額計:約1310億ドル)が世界のサーバ投資全体(約2290億ドル)の60%近くを占め、ベンダーの上位10社(サーバ売上高計:約1560億ドル)が市場需要全体(約2290億ドル)の60%以上を満たす見通しだ。
なお、Omdiaはサーバ市場分析において、Foxconn、Pegatron、FlexのようなODMについては、ユーザーへの直接販売による売上高のみを計上している。Dell、HPE、Cisco SystemsのようなOEM向けのサーバ製造による売上高は、二重計上を防ぐために除外されている。
「Foxconnは、今後もさらに成長するだろう。NVIDIAとBlackwell GPUで密接に提携している。クラウドサービスプロバイダー向けのNVL36およびNVL72ラックの最大のサプライヤーになるだろう」と、スクマラン氏は付け加えている。
2025年も、データセンター業界、特にサーバ市場にとって好調な年となりそうだ。クラウドサービスプロバイダーと企業の両方におけるAIインフラ展開が次の段階に入るからだ。Omdiaは、2025年のサーバ投資が22%増加し、2800億ドルを超えると予測している。こうした力強い成長が10年間続き、サーバ市場は2028年までに3800億ドルに達し、2030年までに5000億ドルに迫る見通しだ。
「AIに特化したクラウドサービスプロバイダーの事業開拓や投資は、まだ本格化していない。2025年は、こうしたプロバイダーであるCoreWeaveの投資額がOracleを上回る可能性がある」と、ガラボフ氏は指摘する。
また、2024年にはGPUの供給が、企業の投資の制約要因となっていたが、この状況は2025年には改善される見通しだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.