Omdiaは、データセンター市場に関する調査結果を発表した。「データセンター市場ではAIの実用的なアプリケーションに対する認知度が高まっている」とし、2027年には業界規模は652億ドルに達し、5年間の年平均成長率(CAGR)は9.4%になると予想した。
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調査会社のOmdiaは2023年9月4日(現地時間)、データセンター市場に関する調査結果を発表した。同社は「データセンター市場では、生産性の向上とコスト削減を約束するAI(人工知能)の実用的なアプリケーションに対する認知度が高まっており、これまでのエビデンスを総合すると、これは単なる一過性のものではないとみられる」と述べている。
マルチテナントおよびシングルテナントのデータセンタープロバイダーを含むコロケーション事業者は、この新しいAIの成長の波に乗ることが期待されている。こうした企業の中には、より高いラック電力密度を実現するためにデータセンターの設計を変更しているところもある。AIトレーニング用に構成されたサーバの消費電力は、科学研究用のハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)クラスタに類似している。
同社の主席アナリストを務めるアラン・ハワード氏は、「最も高いラック密度と液体冷却へのアクセスを提供できるコロケーションプロバイダーが、データセンタースペース市場で優位に立つだろう」と述べている。
同社の調査によると、コロケーション市場は引き続き力強い成長を続けており、AIハードウェアの普及も成長の追い風となっている。同社は「コロケーション業界は極めて健全に成長しており、2027年には業界規模は652億ドルに達し、5年間の年平均成長率(CAGR)は9.4%になる」と予想している。AIハードウェアの導入加速がどのように実現するかにもよるが、コロケーションデータセンターの収益は今後数年間で大きく押し上げられる可能性があるという。
世界のコロケーションサービスのプロバイダーはエクイニクス、Digital Realty、NTTグローバルデータセンター(NTT GDC)がトップ3となっている。同社によると、この3社で700以上のデータセンターを運営しており、100以上の建設プロジェクトが進行中だという。同社は、これら3社で2022年の総売上高416億ドルのうちの33%を占めていると述べている。
「全てのデータセンターがAIやHPC機器を扱えるわけではないが、これらの企業やその他コロケーションサービスプロバイダーは、この新たな成長トレンドを予測してきた。ここ数年の間に建設されたデータセンターや建設中のデータセンターのほとんどは、こうした高電力密度の機器ラックに対応できるように設計されている」(Omdia)
このようなデータセンターの設計、構築には、サーバを保護するための高密度な配電管理と熱管理のための精密冷却が含まれている。同社によると、場合によっては、コロケーションの顧客がチップに直接接続する液冷を必要とすることもあり、この場合は顧客が液冷ループにアクセスできるような特別なデータセンターの配管設計や、最も温度の高いサーバを非導電性の液槽に沈める液浸冷却タンクを設置するオプションが必要だという。
ハワード氏は「高度なデータセンターの運用特性を実現することは、高額な設備投資を嫌う企業には向いていない。エクイニクスやDigital Realty、NTT GDCなどのコロケーション企業は、リスクを負ってデータセンターを建設するビジネスを展開している」と述べた。
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