Gartnerは2025年3月5日、AIエージェントに関する予測を発表した。AIエージェントが2029年までに一般的なカスタマーサービスの問題の80%を自律的に解決するという。
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Gartnerは2025年3月5日(米国時間)、AI(人工知能)エージェントに関する予測を発表した。
同社は「2029年までにAIエージェントによって、一般的なカスタマーサービスに関する問題の80%が人間の介入なしに自律的に解決されるようになり、「運用コストの30%削減につながる」と予測している。
AIエージェントは、カスタマーサービスにおける対応の仕組みを根本的に変革する可能性がある。従来のAIモデルはテキストの生成や会話の要約に限定されていたが、AIエージェントはそれだけでなく、タスクを自律的に実行できるからだ。顧客と企業のどちらも、AIエージェントやbotを使い、やりとりを自動化できる。これにより、カスタマーサービスチームと顧客との関係が変わっていく。
Gartnerのダニエル・オサリバン氏(カスタマーサービス&サポート部門 シニアディレクターアナリスト)は「AIエージェントはカスタマーサービスにおけるゲームチェンジャーとなり、自律的で手間のかからない顧客体験の向上を実現する」と述べている。
だが、AIエージェントの活用が進むにつれ、これまでにない課題も生じる。カスタマーサービスチームは人間の顧客に加えて、高度なAIツールを使った“マシン顧客”の増加にも対応しなければならなくなる。これまで人間の顧客からの問い合わせに対して受動的に対応してきたカスタマーサービスチームにとって、この移行は大きな課題となる可能性がある。
「企業は問い合わせなどの受動的なサービス提供に対するアプローチを再考し、AI主導のリクエストが標準となる未来に備える必要がある。この未来では、全てのカスタマーサービスチームにおいて、自動化が中心的な役割を果たすことになる」
AIエージェントを活用する顧客にとって“サービスエクスペリエンス”は大きく変革されることになる。AIエージェントは単に情報を提供するだけでなく、Webサイトを操作して会員登録を解除したり、法人顧客に代わって最適な配送料金を交渉したりといった、具体的な行動を起こすからだ。さらに、このような“タスクの代行”にとどまらず、AIエージェントは問題を事前に特定し、自律的に解決する可能性も秘めている。
企業は、カスタマーサービスのやりとりの性質や問い合わせ件数の変化に備えなければならない。これによって、カスタマーサービスチームと顧客の関係が再定義され、新たな価値提供の機会が生まれるとともに、顧客データの収集方法も変化するだろう。こうした変革に対応するため、カスタマーサービスおよびサポートのリーダーは以下の準備を進める必要がある。
AIエージェントによる自動対応が増加することを想定し、スケーラブルなインフラへ投資するとともに、セルフサービスチャネルを最適化し、チャットbotのトラフィックを適切に管理できる体制を整える。
AIが主導となった場合の問い合わせ件数に対応できるようサービスモデルを更新し、人間の対応とAIの対応を適切に区別する動的ルーティングを導入する。
データのプライバシーやセキュリティ、エスカレーション(対応の引き継ぎ)に関する指針を定め、AIによる対応の管理ルールを策定する。
AIエージェントを製品に統合することで、問題を事前に検知し、外部AIへの依存を軽減する。
「顧客がAIエージェントに、サービスリクエストの発信、管理、交渉を任せるようになるにつれ、カスタマーサービスチームもこの変革に適応し、これらのインテリジェントシステムと効果的に協力できる新たな役割とスキルを身に付ける必要がある」
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