対話型AI市場が急成長、2025年度は前年比45.7％増加の見込み ITR調査：拡大の裏に課題も

ITRは、国内の対話型AIエンジン／デジタルヒューマン市場についての調査結果を発表した。2024年度の市場規模は12億9000万円に達し、2023年度比で46.9％増となった。

[＠IT]

　アイ・ティ・アール（以下、ITR）は2025年9月18日、国内の「対話型AI（人工知能）エンジン／デジタルヒューマン市場」の規模推移と予測を発表した。ITRによると、対話型AIエンジン／デジタルヒューマンとは、人間の問い合わせに対し、対話形式で応答を返す製品やサービスのことだ。

残っている課題は「日本語」

　調査結果によると、2024年度の国内対話型AIエンジン／デジタルヒューマン市場規模は12億9000万円で、2023年度比で46.9％増と急成長を遂げた。2025年度は45.7％増の成長が見込まれる。2024年度から2029年度までの年平均成長率（CAGR）は33.6％、2029年度には55億円に達するとITRは予測している。

国内対話型AIエンジン／デジタルヒューマン市場の推移（提供：ITR）

　「市場拡大の背景には、音声認識や自然言語解析といった技術進化と、企業における導入事例の増加がある」とITRは分析している。特に、顧客対応を自動化しながら人に近い体験を提供できる点が評価され、サービス創出や接客効率化を目的に採用が進んでいるという。

　ITRの舘野真人氏（プリンシパルアナリスト）は、「LLM（大規模言語）の統合やノーコード開発の充実により、コンタクトセンターや店舗での顧客体験を向上させる手段として注目が高まっている。一方で、日本語特有の表現への対応や、ハルシネーション（生成AIが不正確な情報を真実であるかのように提示する現象）の抑制などが課題として残っている」と説明している。

このニュースのポイント

Q: ITRが発表した市場調査の内容は？

A: 国内の「対話型AIエンジン／デジタルヒューマン市場」の規模と予測。2024年度は12億9000万円で2023年比で46.9％増、2025年度も45.7％増を見込む。

Q: 将来的な市場規模はどの程度か？

A: 2024〜2029年度のCAGRは33.6％で、2029年度には55億円に達すると予測されている。

Q: 市場拡大の背景は？

A: 音声認識や自然言語解析などの技術進化と、企業での導入事例の増加。顧客対応の自動化や接客効率化への期待が導入を後押し。

Q: 導入分野や注目される理由は？

A: コンタクトセンターや店舗での顧客体験向上。LLM統合やノーコード開発が普及し、サービス創出や業務効率化手段として注目度が上昇。

Q: 残されている課題は？

A: 日本語特有の表現対応の難しさや、生成AIによるハルシネーションの抑制。