リクルートマネジメントソリューションズは「働く人の本音調査2025」の結果を発表した。在籍はしているものの、消極的で最低限の業務しかしなくなる「静かな退職」に関して分析した。それによると、周囲に静かな退職者がいても、成長支援や正当評価の実感があれば幸福感は高いことが分かった。
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リクルートマネジメントソリューションズは2025年9月24日、「働く人の本音調査2025」の結果を発表した。2024年に続き2回目となる今回は、「静かな退職(Quiet Quitting)」について分析した。周囲に静かな退職者がいても、成長支援や正当評価を実感できれば幸福感は高いことが分かった。
静かな退職とは、会社に在籍しているものの、消極的な姿勢で必要最低限の業務だけをこなす働き方を指す。労働人口の減少、技術革新といった環境変化の中、国内外で注目を集めている。調査結果によると、「同僚や上司に静かな退職をしている人がいる」と感じている人の割合は27.7%だった。
周囲に静かな退職をしている人がいる人とそうでない人の心理状態を「主観的幸福感」(※)で確認すると、周囲に静かな退職者がいると感じている人は、そうでない人に比べて統計的に有意に幸福感が低いことが明らかになった。
静かな退職者が周囲にいると回答した人のうち、55.1%は「不利益を被ったことがある」と答えた。最も多かった理由は「仕事量が増えた」(47.7%)で、給与や評価に十分反映されない不公平感が背景にある。
一方で、15.1%は「恩恵を受けたことがある」と回答し、その多くは「相対的に自分の評価が上がった」(12.5%)と感じていた。世代別では、30〜40代は不利益を多く感じ、20代は恩恵を感じる割合が比較的高かった。
調査結果によると、周囲に静かな退職者がいても「会社が成長を支援している」「正当に評価されている」と実感する人は、そうでない人よりも統計的に有意に幸福感が高かった。さらに、成長支援や正当評価の実感がある人は、静かな退職者がいない環境よりも高い幸福感を示した。
リクルートマネジメントソリューションズの大庭 りり子氏(組織行動研究所 研究員)は「静かな退職が職場に与える影響は小さくないが、成長支援や正当評価の実感があれば幸福感は高く保たれることが確認できた。これは制度設計や上司の働きかけの重要性を示すとともに、従業員一人一人が制度や機会を積極的に活用する必要性を示している」と分析している。
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