Broadcomの方針変更により、メジャークラウド各社はソフトウェアライセンスをバンドルしたVMwareサービスを継続できなくなった。ユーザーは、今後VMwareのライセンスをBroadcomのリセラーから調達しなければならない。メジャークラウド各社はどう対応するのか。
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BroadcomがVMwareクラウドパートナーを大幅に削減している件については既にお伝えしたが、移行先の選択肢ともなり得るメジャークラウドのVMwareサービスについても方針を変更している。具体的には、ライセンスをバンドルした提供ができなくなる。このため、ライセンスバンドル方式を使ってきたユーザーは、今後自社側でライセンスを調達し、クラウドに適用しなければならなくなる。
VMwareを使ったハイパースケーラーのクラウドサービスには、基本的に次の2つのタイプがある。
Broadcomは2025年8月下旬、ハイパースケールクラウドにおけるVMware提供を、新会計年度(2025年11月初め)よりライセンス持ち込みタイプに絞ると発表した。ライセンスバンドルタイプは終了する。
同社とそのリセラーから購入するライセンスは「ポータブル」になっている。ユーザーはオンプレミス、対応クラウドのどこにでも移動して適用することができる。このため、ライセンス持ち込みタイプに統一することで、ユーザーに自由を与えられると同社は説明する。
一方で、Broadcomはユーザーのオンプレミス、メジャークラウドにおけるVMware利用を統合的に把握し、管理することになる。例えば値上げの影響を直接受けるようになることが想定できる。
Broadcomの発表に、ハイパースケールクラウド各社はどう対応しているのか。@ITでは、アマゾンウェブサービスジャパン、日本マイクロソフト、グーグル・クラウド・ジャパン、日本オラクルの4社に聞いた。
・Amazon Web Services(AWS) 「Amzon EVS」
AWS上ではBroadcomが「VMware Cloud on AWS」を運用・販売しているが、AWS自体は「Amazon Elastic VMware Service(Amazon EVS)」というVMwareクラウドサービスを提供している。この記事「AWSの新VMwareサービス『Amazon EVS』は『VMware Cloud on AWS』とどうすみ分けるのか」にあるように、Amazon EVSにはライセンス持ち込みタイプしかない。
このため、今回のBroadcomの発表による影響はないという。
・Microsoft Azure 「Azure VMware Solution」
Microsoft Azureは「Azure VMware Solution(AVS)」で2種類のタイプを提供してきた。今回のBroadcomの方針を受け、2025年10月15日でライセンス込みタイプの新規提供を終了する。翌日以降、新たにAVSノードを購入する場合は、Broadcomから購入した「VMware Cloud Foudation(VCF)」のサブスクリプションを準備する必要がある。
2025年10月16日以前に購入された既存の1年、3年、5年の予約インスタンス(Reserved Instances:RI)は、RIの有効期限までライセンス込みの権利が維持される。
従量課金制SKU(「PayGo SKU」)は、2026年10月31日までライセンス込みで提供される。2026年11月1日以降は「AVS VCF BYOL(Bring Your Own License)PayGoサービス」に移行するため、Broadcomから購入したVCFサブスクリプションが必要になる。
上記については、このブログポストにも説明がある。
・Google Cloud 「Google Cloud VMware Engine」
Google Cloudの「Google Cloud VMware Engine(GCVE)」でも2種類のタイプを提供してきたが、VCFライセンスバンドルタイプの販売を2025年10月15日で終了する。
既存のコミットメント、確約利用割引(CUD)については、契約終了まで既存の契約が優先される。
2025年10月15日時点でオンデマンドで稼働しているソフトウェアバンドルのGCVEクラスタノードについては、ノードが稼働している限り11月1日以降も利用が可能(最長で2027年6月まで)。
Google Cloudは顧客やパートナーに対し、VCFのライセンス調達については付き合いのあるBroadcom販売代理店に相談するよう案内している。
・Oracle Cloud Infrastructure(OCI) 「Oracle Cloud VMware Solution」
OCIの「Oracle Cloud VMware Solution(OCVS)」では、ライセンス込みタイプのみが提供されてきた。つまり、今回の発表が適用されれば全ての既存ユーザーが影響を受けると考えられる。日本オラクルは対応について、「本社からの発表がなされていないため回答はできないが、現在は従来通りライセンス込みでの販売が可能」とだけ答えている。
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