2025年11月6日、島根県松江市のくにびきメッセにて、プログラミング言語Rubyを活用した革新的なビジネスを表彰する「Ruby biz Grand prix 2025」の表彰式が開催された。第11回目となる本アワードでは、全国から応募された17のサービスの中から、大賞2点、特別賞3点、そして、その他の賞としてAIxRuby賞2点の計7サービスが選出された。
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「Ruby biz Grand prix」は、プログラミング言語「Ruby」を用いることで、ビジネス領域において新規性や独創性などの高い価値を生み出し、今後の発展に期待ができるサービスを表彰している。Rubyを利用する企業が、社会の変化に迅速に対応し、仕事と生活の豊かさという価値創造にスピーディーにアプローチできることを評価の重点としている。
本アワードの審査は、審査委員長であるまつもとゆきひろ氏をはじめとする5人の審査委員によって行われた。ファイナリストに選出された7つのサービスがプレゼンテーションを行った後、大賞(賞金100万円)2点、特別賞(賞金30万円)3点、AIxRuby賞2点を表彰した。
大賞には、STORESの「STORES」と、RIZAPの「chocoZAP(チョコザップ)」の2サービスが選ばれた。
「STORES」は、店舗運営、EC、決済サービスなど、事業者の成功を支援するためのプロダクト群を展開し、サービスを通して、事業者が本質的な活動に注力できるよう、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している。同社のミッションは「Just for Fun」であり、創造と変化を楽しむサイクルを生み出すことを目指している。
STORESのプロダクトの多くは、Rubyで開発されており、Rubyはプロダクト開発の根幹を担う重要な要素である。社内には3人のRubyコミッター(※)が在籍するなど、Rubyに対する貢献意欲が高い。また、「RubyKaigi」をはじめとするカンファレンスへの登壇やスポンサー活動、「Rails Girls」や「中高生Rubyプログラミングコンテスト」といった教育関連イベントの支援を通じて、Rubyコミュニティの拡大と発展に積極的に関与している。
STORESの小室 直氏は「私たちはRubyの力強さと、事業を進めていくときの言語としてのRubyの力を強く信じているので、今回評価いただけたことは、Rubyを使っている人間、そしてRubyで開発している皆さんの励みになるのではないかと思っております」と述べた。続けて、事業を通じてRubyに取り組み、Rubyの文化を大切にしている中で、今回の表彰は大変光栄であると謝辞を述べ、「この受賞を糧に、これからもRubyに対して貢献を、Rubyを使ってサービスの開発を進めていきたい」と、今後のコミットメントを表明した。
「chocoZAP」は、RIZAPが展開する「コンビニジム」という新しい業態のサービスである。月額2980円(税込3278円)という価格設定で、「簡単、速い、楽しい」をコンセプトに、トレーニング機器だけでなく、エステティックや脱毛、アミューズメント機能などを追加料金なしで提供し、誰もが気軽に運動を継続できる環境を実現している。
chocoZAPは、全社的なDX推進の核としてRubyを活用している。フロントエンド、バックエンド、アプリのバックエンド、そして店舗の施設システムやIoT(Internet of Things)まで、多岐にわたるサービスにおいてRubyおよび「Ruby on Rails」が採用されている。同社はRubyの持つ開発のしやすさとスピード、生産性の高さを評価している。
RIZAPの梅田智大氏は、サービス開始当時はエンジニアが社内に一人もいない状態からのスタートだったと振り返り、急成長する中で、テクノロジーカンパニーとしての基盤整備をRubyによって実現し、それが今回の受賞につながったことに感謝の意を述べた。また、この受賞が、chocoZAPのサービス展開とRubyコミュニティへのさらなる貢献への意欲につながると期待を寄せた。
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