「コーディング時間が減った」は5割、“工数が増えた”の実感も paizaが調査、生成AIの影響とは生成AIでエンジニアの生産性は上がるのか

paizaの調査によれば、ITエンジニアの半数以上が生成AIの活用によって週当たりのコーディング時間を短縮している。

» 2025年11月18日 08時00分 公開
[@IT]

 paizaは2025年11月5日、生成AIがエンジニアの生産性に与える影響を調べる「生成AI時代のエンジニアのスキルアップに関する意識調査(2025年版)」の結果を発表した。2025年7月3日〜19日に調査を実施し、paizaの登録ITエンジニア629人から回答を得たものだ。

 調査では、ITエンジニアの半数以上が生成AIの導入によって週当たりのコーディング時間が減少したと回答した。実感値の平均は週当たり約8時間で、約0.2人月に相当する。単純作業の効率化だけでなく、より創造的な業務や設計に時間を割くことが可能になったことを示唆している。

画像 生成AIによるコーディング時間の変化(提供:paiza)

 一方で、4割以上のエンジニアが時間に変化がないと回答しており、生成AIを使いこなすための学習コストや業務への統合には課題があることも明らかになった。

コードを読む時間は「増えた」「減った」「変わらない」に分散

 生成AIが生成したコードの正確性を確認するため、コードを読む時間が増加したエンジニアがいる一方で、AIによるコードの要約やコメント生成機能によって読む時間が減少したエンジニアも存在する。結果として、以下の通りコードを読む時間の変化は増加、減少、変わらないに分かれた。

画像 コードを読む時間は「増えた」「減った」「変わらない」に分散(提供:paiza)

 この結果は、生成AIの活用方法が多岐にわたることを示しており、個々のエンジニアのスキルや業務内容によって影響が異なることを示唆している。

経験5年未満の71.6%が「生成AIを使わない開発には戻れない」

 「生成AIを使わない開発には戻れないと思いますか?」という設問では、実務経験5年未満のエンジニアの71.6%が「非常にそう思う」「そう思う」と答えた。生成AIが提供する即時的なアウトプットを強く求めている傾向が見られる。

 一方、実務経験5年以上のITエンジニアでは「非常にそう思う」「そう思う」が59.4%となり、生成AIに対する依存度は比較的低い結果となった。ただし、5年以上の経験者でも6割近くが「戻れない」と回答していることになり、生成AIの影響力の大きさがうかがえる。

利用フェーズは「実装」、ツールは「ChatGPT」がトップ

 調査で生成AIの活用が最も進んでいるフェーズは「実装」(59.7%)で、「調査」(59.1%)、「設計」(40.9%)、「企画構想」(34.6%)、「テスト」(34.4%)、「要件定義(27.9%)と続いた。過去データを学習した上でのコードの自動生成やスニペット(コード断片)の提案といった機能が、生産性向上に貢献していると推察される。

 生成AIツールの利用ランキングは、1位が「ChatGPT」、2位が「Gemini」、3位が「GitHub Copilot」となった。1位ChatGPT、2位Geminiという結果は、ITエンジニアが生成AIを単なるコード生成のためだけではなくより幅広い用途で活用していることを示唆している。3位のGitHub Copilotは、コードを自動生成したりスニペットを提案したりする機能から、実務的な補助ツールとして使われていると推察される。

画像 生成AI利用ツールランキング(提供:paiza)

 paizaのCEOを務める片山良平氏は、「経験年数による生成AIへの依存度の違いも見られる」とし、「生成AIの活用が進む中で、AIが生成したコードを適切に評価し、より高度な開発に生かしていくためには、ITエンジニア自身の確かなスキルが不可欠」と述べている。

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