Amazon Web ServicesはAI主導によるソフトウェア開発を支援する統合開発環境「Kiro」の一般提供を開始した。
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Amazon Web Services(AWS)は2025年11月17日(米国時間)、IDE(統合開発環境)の「Kiro」の一般提供を開始した。
Kiroは、「Visual Studio Code」(VS Code)をベースに開発されたIDEだ。最初に仕様をAIとともに作成し、仕様を基準として開発する「仕様駆動開発」のアプローチが特徴だ。
AWSはこれまでKiroのプレビュー版を提供しており、リモートMCP(Model Context Protocol)やAutoエージェントといった機能強化を進めてきた。一般提供開始に伴い、コード検証機能や管理機能が拡充されている。
Kiroの一般提供開始に伴い、仕様の正確性を確認する「プロパティベーステスト」(PBT)が実装された。
PBTは、要件定義から「プロパティ」を抽出し、数百から数千のテストケースを自動生成して実行する機能だ。これにより、単体テストでは漏れがちなエッジケースの挙動を確認できるという。
仕様の記述については「EARS」(Easy Approach to Requirements Syntax)形式を用いて、Kiroが要件からテストすべきプロパティを論理的に抽出する。違反や反例が検出された場合、自動的に実装を更新するか、仕様書、実装コード、あるいはテスト自体の修正案を提示する。
この他、変更履歴を任意の段階に戻せるチェックポイント機能、複数プロジェクトルートを単一ワークスペースで扱える「マルチルートワークスペース」機能も実装された。
ターミナル環境向けには「Kiro CLI」が利用可能になった。開発者はKiro CLIから「Claude Sonnet 4.5」などのAIモデルやMCPツールを呼び出し、ローカルファイルの操作やbashコマンドを実行できる。
Kiro CLIでは、役割に特化したカスタムエージェントも設定できる。特定のAPIパターンやスキーマのみを扱うバックエンド、あるいはフロントエンドコンポーネントに特化したエージェントなどを構築することで、コンテキストウィンドウの消費を抑えつつ最適化された回答を得られるという。
チーム管理機能においては、「AWS IAM Identity Center」との連携に対応。「AWS マネジメントコンソール」からアクセス権限や請求を一元管理できる他、管理ダッシュボードからKiroの各サブスクリプション(「Pro」「Pro+」「Power」)を付与できるという。
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