MicrosoftはBitLockerの暗号処理をSoC上の専用ハードウェアへオフロードする「ハードウェアアクセラレーションBitLocker」を発表。対応機では暗号処理のCPU負荷を大幅に低減し、ストレージ性能とセキュリティを両立させることが可能になるという。
ハードウェアアクセラレーションBitLockerでCPU負荷70%減Microsoftは、Windows OSのディスク暗号化機能「BitLocker」の処理をSoC(System-on-a-chip)上の専用ハードウェアへオフロードする新機能「ハードウェアアクセラレーションBitLocker(hardware-accelerated BitLocker)」を発表した(Windows IT Pro Blog「Announcing hardware-accelerated BitLocker」)。
NVMe SSDなどのストレージの高速化に伴い、従来のCPUによるソフトウェア処理ではBitLockerによるリアルタイムの暗号化/復号処理がボトルネックとなり、ストレージ本来の性能を発揮できないケースが増えていた。ハードウェアアクセラレーションBitLockerは、この問題を解決するものとして導入される。
ハードウェアアクセラレーションBitLockerでは、大容量のブロック暗号処理をCPUではなくSoC内の専用暗号化エンジンへ移すことで、CPU負荷を大幅に軽減する。これにより、CPU負荷を劇的に低減できる。
Microsoftの実測データによると、この機能を利用することでCPUサイクルが平均で約70%削減されるという。これはシステム全体のレスポンス向上に加え、ノートPCにおいてはバッテリー駆動時間の延長にも直結する改善となる。
ハードウェアアクセラレーションBitLockerとソフトウェアBitLockerの性能比較セキュリティ面での強化も見逃せない。暗号化キーはSoC内のハードウェアで保護(ラップ)されるため、CPUやメモリへの露出が減り、キャッシュやメモリにアクセス可能となる脆弱(ぜいじゃく)性に対する耐性が高まるとしている。
対応するSoCとNVMeストレージを搭載したPCでは、デフォルトで「XTS-AES-256」アルゴリズムによるハードウェア処理が有効になる。なお、非対応環境では自動的に従来のXTS-AES-128(ソフトウェア処理)にフォールバックされるため、互換性の問題はない。
この機能は、今後のWindows 11のアップデートで段階的に有効化され、2026年春以降に発売される新機種から利用可能になる見込みだ。
デバイスがハードウェアアクセラレーションBitLockerを使用しているかどうかは、管理者としてコマンドプロンプトまたはPowerShellを開き、「manage-bde -status」コマンドを実行することで確認可能だ。
ハードウェアアクセラレーションBitLockerを確認する方法表示される「暗号化の方法(Encryption Method)」欄に「XTS-AES-256 (Hardware accelerated)」と記載されていれば、ハードウェアによる高速化が有効になっている。
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