「好みのIDEで、好みのAIを」 相互運用性を向上させる共通規格「ACP」 JetBrains IDEがサポート特定のエディタでしか導入できない制約を解消

JetBrainsは、JetBrains IDEの最新リリース候補版で、「Agent Client Protocol」サポートのβ版を提供開始した。ACPは、コードエディタ/IDEとAIコーディングエージェント間の通信を標準化するプロトコルだ。

» 2025年12月24日 13時00分 公開
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 JetBrainsは2025年12月5日(チェコ時間)、「JetBrains IDE」の最新リリース候補版で、「Agent Client Protocol」(ACP)サポートのβ版を提供開始したと発表した。

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 ACPは、コードエディタ/IDE(統合開発環境)とAIコーディングエージェント間の通信を標準化するプロトコル。Language Server Protocol(LSP)が言語サーバとの通信を標準化したのと同様、AI連携の共通規格になることを目指している。

IDEとAIエージェントの相互運用性を向上 JetBrains、Zed、Dockerが協力

 ACPをサポートするコードエディタ/IDEとコーディングエージェントは、自由に組み合わせて利用できる。つまり、特定のAIや製品に縛られず、セキュリティやコストの観点でも最適なエージェントを好みのIDEに統合できるようになる。

 ACPにより、コーディングエージェントの開発者は、個々のコードエディタ/IDEとの統合作業ではなく、コア機能に集中できる。またコードエディタ/IDEの開発者は、より迅速に新機能にアクセスできる。

 JetBrainsは今後、IDEでのACP対応エージェントの利用体験を改善するとともに、ACP対応エージェントの配布に乗り出し、キュレーション済みレジストリの構築を目指す。また、ローカルマシンだけでなく、リモートサーバで動作するエージェントにもACPを再利用したい考えを示している。さらに、IDEで提供しているMCP(Model Context Protocol)ツールチェーンにより、エージェント自体の機能も強化する計画だ。

 JetBrainsとZed Industriesはそれぞれ、コードエディタ/IDEとコーディングエージェント間の通信を可能にするプロトコルを開発していた。2025年夏にZed Industriesが自社のプロトコルを発表した後、両社は協議を行い、競合するプロトコルを投入する代わりに、ACPの開発を協力して進めることで合意した。

 Dockerは、オープンソースのマルチエージェントランタイム「cagent」で、Anthropicの「Claude Code」、OpenAIの「Codex CLI」、Googleの「Gemini CLI」というコーディングエージェントに加え、既にACPもサポートしている。cagentで構築されたエージェントは、JetBrains製品のようなACP互換IDEで即座に動作する。

 JetBrainsによると、現在、多数のACP対応エージェントが存在しており、今後さらに増加する見込みだという。

ACPの技術的な特徴

 エージェントはコードエディタのサブプロセスとして実行され、stdio経由でJSON-RPCを用いて通信する。ACPは、MCPで使用されるJSON表現を可能な限り再利用するが、差分の表示など、有用なエージェント型コーディングのUX(ユーザー体験)要素(差分の表示など)のためのカスタム型を含んでいる。

 ユーザーが読むテキストはデフォルト(既定)でMarkdown形式となっている。これにより、コードエディタにHTMLレンダリングを要求せず、リッチフォーマットを表現するのに十分な柔軟性が確保される。

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