総務省、「自治体AIガイドブック」第4版公表 自治体の生成AI活用事例、利用ルール整備に役立つテンプレ公開「機密情報の取り扱い」や「DeepSeek」への注意喚起も記載

総務省は2025年12月、「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>(第4版)」を公表した。

» 2026年01月15日 13時00分 公開
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 総務省は2025年12月16日、全国の自治体を対象とした「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>(第4版)」を公表した。

 同ガイドブックは、自治体におけるAI(人工知能)導入の進め方や留意点をまとめたもの。生成AIの急速な普及を受け、生成AIの利用方法や自治体における生成AIの活用事例、生成AI活用におけるリスクや対策に関する記述を大幅に拡充した。

 併せて、自治体が生成AIシステム利用のガイドラインを整備する上で役立つテンプレートも公開している。

指定都市の9割が生成AIを導入 「マクロ、VBAの作成」も上位に

 総務省によると、自治体における生成AIの導入率は都道府県で87.2%、指定都市(人口50万人以上の都市)で90.0%に達しているという。自治体における生成AI活用業務(複数回答)では、あいさつ文案やメール文案といった文書作成支援に加え、議事録の要約やマクロ、VBAの作成といった業務効率化における活用も進んでいるとした。

 主な活用事例は以下の通り。

  • 「あいさつ文案の作成」(875件)
  • 「議事録の要約」(755件)
  • 「企画書案の作成」(638件)
  • 「メール文案の作成」(635件)
  • 「議会の想定問答の文案の作成」(602件)
  • 「ローコードの作成(マクロ、VBAなど)」(541件)
自治体における生成AIの具体的な活用事例(自治体AIガイドブックより) 自治体における生成AIの具体的な活用事例(自治体AIガイドブックより)

RAG活用が主流、横浜市は回答精度9割達成

 生成AIのカスタマイズ手法として、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)の採用が先行している。特定行政分野に対応した環境構築(APIやファインチューニング)が41件だったのに対し、外部ソースを参照させるRAGの利用は244件に上った。

 横浜市の事例では、法令集や選挙関連書籍約4500ページ分(PDF)をデータ化してRAG環境を構築。継続的なチューニングにより、選挙関連業務において約9割の回答精度を達成しているという。

機密情報の取り扱いとガバナンスにも言及 「DeepSeek」への注意喚起も

 改定版では、生成AI導入に当たっての留意事項として、「ガバナンス確保の体制構築」「要機密情報の取り扱い」「人材育成の考え方」についてそれぞれ以下のようにポイントをまとめている。

ガバナンス確保の体制構築

 AIガバナンス体制として、AI統括責任者(CAIO)の設置を推奨している。専門人材不足に対応するため、都道府県によるCAIO補佐官の派遣や、複数団体での共同設置などの事例を解説している。

要機密情報の取り扱い

 入力した要機密情報を学習させない仕組み(オプトアウトの徹底)の重要性を示した上で、「利用するサービスの責任範囲を整理し、サービスを利用する際のリスクを検討する必要がある」と明記している。

 また2025年2月に個人情報保護委員会事務局が発表した「DeepSeekに関する情報提供」にも言及。DeepSeekが提供する生成AIサービスを利用する場合、データが中国のサーバに保存され、現地の法令(検閲や接収の可能性)が適用されるリスクを指摘し、利用サービスのサーバ設置場所や適用法令を確認するよう求めている。

人材育成の考え方

 AI導入には首長や幹部職員のコミットメントに加え、専門人材と一般職員をつなぐ「DX推進リーダー」の育成が重要だとしている。生成AIの利用促進に向けて、即時利用可能なプロンプト集の共有や、職員の習熟度別の研修実施が有効だとした。

 一方、生成AIへの過度な依存による職員の能力低下にも警鐘を鳴らしている。「自ら文章作成や企画立案ができなければ、AIの出力結果を正しく評価できない」とし、職員自身の基礎能力向上も求めている。

 また「私用デバイスにインストールした生成AIに職務上知り得た情報を入力してはいけない」といったセキュリティリテラシー教育の徹底も呼び掛けている。

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