マネックス証券は証券基幹システムのデータベースをOCIへ移行開始したと発表した。2025年4月に本番環境の一部が稼働開始し、オンプレミス増強時と比較して約40%のコスト削減を見込むという。
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マネックス証券は、オンライン証券の取引プラットフォームの一部である証券基幹システムのデータベース(DB)を「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)上の「Oracle Exadata Database Service」へ移行し、本番環境の一部を2025年4月より稼働を開始した。
日本オラクルの2026年1月20日の発表によれば、この移行は、口座数・取引処理の増加や相場変動に伴う突発的な負荷に対し、柔軟なスケーリングによりコストを抑えた運用を実現することを目的としたもの。オンプレミス環境を増強する場合と比較して、約40%のコスト削減を見込んでいるという。
日本オラクルは、国内大手オンライン証券の基幹システムのデータベースがOCIへ移行するのは、今回が初の事例だとしている。
マネックス証券は1999年の設立以来、総合オンライン証券会社として事業を展開しており、2025年11月時点で総口座数280万口座、預かり資産10兆円を突破している。
同社はNTTドコモとの資本業務提携により、dポイントやdアカウントと連携した新たな投資サービスを展開し、金融と通信の融合による次世代の資産形成プラットフォームを推進している。こうしたシナジー効果により口座数と預かり資産の増加が進む中、相場ニュースなどで処理負荷が平常時の約2倍に達する局面でも安定運用を維持できる、弾力的なインフラが求められていたという。
もともと同社が運用していた基幹システムでは、本番用、ステージング用、災害対策(DR)用それぞれにオンプレミスの「Oracle Exadata」が稼働していた。今回はそのうち、本番環境の一部をOCI上の「Oracle Exadata Database Service」へ移行し、稼働を開始した。
「Oracle Exadata Database Service」採用の決め手は、「Oracle Exadata」の高性能を維持しながら「Oracle Real Application Clusters」による高可用性を継承しつつ、かつコスト最適化を図れる点にあった。ピーク時と平常時で処理性能をスケーリングできるため、需要に応じた運用が可能になるという。
移行の検討段階では、オンプレミスからクラウドへの移行に伴うネットワークレイテンシを確認する入念なPoC(概念実証)を実施し、その結果オンプレミスと同等のパフォーマンスを確認。主要な作業工程はマネックス証券の内製体制により実施され、短期間での本番稼働を実現したという。
移行後の導入効果としては、一部処理をOCIへオフロードすることで既存の「Oracle Exadata」の処理負荷を軽減できた。OCIへの一部移行後も、オンプレミスの「Oracle Exadata」と安全かつ高性能に接続できるハイブリッド構成とし、レイテンシの影響を意識せずに運用できる環境を確立している。
マネックス証券は事業のレジリエンス強化のため、現在Oracleのデータベース向けフルマネージド型データ保護サービス「Oracle Database Zero Data Loss Autonomous Recovery Service」の導入を検討している。また今回のOCI移行を機に、「Oracle Autonomous AI Database」のSelect AIなど、データ分析領域での活用も検討しているという。
マネックス証券でシステム管理部長の中村拓也氏は「ビジネス成長と取引量の増加に対応しつつコンプライアンスを維持するため、より堅牢(けんろう)かつ拡張可能な証券取引プラットフォームが必要でした。Oracle Exadata Database Serviceへの移行により処理を最適化してシステム性能を強化できました。OCIが備えるセキュリティ機能によって高いセキュリティ基準を維持し、事業拡大に合わせて基幹システムのモダナイゼーションを進められるようになりました」と述べている。
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