本番環境でのKubernetesの利用率が82%に到達 「AI基盤の標準に」AIの「OS」として定着か CNCF調査

Cloud Native Computing Foundationは、クラウドネイティブ技術に関する年次調査結果を発表した。コンテナユーザーの82%が「Kubernetes」を本番環境で稼働させており、AIワークロードを支える標準的な基盤として定着しているという。

» 2026年02月16日 13時00分 公開
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 Cloud Native Computing Foundation(CNCF)は2026年1月20日(米国時間)、世界各地の組織を対象に実施した「年次クラウドネイティブ調査」の結果を発表した。同調査は、「Kubernetes」の利用実態や、AI(人工知能)インフラへの採用状況などクラウドネイティブ技術の動向把握を目的としたものだ。

 調査によると、コンテナユーザーの82%が「本番環境でKubernetesを運用している」と回答した。これは、2023年の66%から大きく伸びており、Kubernetesが実験的な技術の段階を超え、企業インフラにおける信頼性の高い基盤として定着した事実を裏付けている。

Kubernetesの本番利用が82%に、成熟段階へ

 調査対象となった組織の98%がクラウドネイティブ手法を採用しており、現代のアプリケーションを大規模に展開、管理するための標準となっていることが明らかになった。

  • 本番環境でのKubernetes利用が急増
    • コンテナユーザーの82%が本番環境でKubernetesを実行(2023年は66%)
  • クラウドネイティブプラクティスの常態化
    • 59%の組織が、開発とデプロイの「多く」または「ほぼ全て」がクラウドネイティブ・新規採用の鈍化
    • クラウドネイティブの初期段階、または全く使用していない組織は10%
クラウドネイティブ技術が普及し、Kubernetesが本番環境や生成AIの推論基盤として定着した(提供:CNCF) クラウドネイティブ技術が普及し、Kubernetesが本番環境や生成AIの推論基盤として定着した(提供:CNCF)

AIプラットフォームとしてのKubernetes

 調査では、AIとクラウドネイティブインフラの統合が強調されており、Kubernetesが推論ワークロードを大規模に実行するためのプラットフォームとして選ばれていることも示されている。

  • AI推論におけるKubernetesの採用
    • 生成AIモデルをホストしている組織の66%が、推論ワークロードの管理にKubernetesを使用
  • AIデプロイ頻度は慎重な姿勢
    • モデルを毎日デプロイしている組織は7%、47%は「時々」のデプロイ
  • 多くの組織は依然としてAIの消費者
    • 44%がKubernetes上でAIや機械学習(ML)のワークロードを本番運用していないと回答

GitOpsとプラットフォームエンジニアリングが成熟度を分ける

 「GitOps」や「内部開発者プラットフォーム」(IDP)によって規模と複雑さを管理するチームが増える中、運用の成熟度とプラットフォームの標準化には強い相関関係があることも浮き彫りになった。

  • GitOpsは成熟の証し
    • 「クラウドネイティブイノベーター」の58%がGitOpsの原則を広範囲に使用、「アダプター」では23%にとどまる
  • 開発者プラットフォームの加速
    • 内部開発者ポータルのプロジェクト「Backstage」は、開発速度でCNCFプロジェクトの第5位にランクイン

オブザーバビリティは次の成長領域に

 オブザーバビリティ(可観測性)分野では、システムの状態を示すテレメトリーの収集や送信を標準化する「OpenTelemetry」がエコシステム内の中核として台頭している。これは、オブザーバビリティが個別のツール選定の話から、クラウドネイティブ運用の戦略的な基盤として位置付けを変えつつあることを示している。

  • OpenTelemetryがプロジェクトの開発速度をリード
    • 2万4000人以上のコントリビューターを抱え、CNCFで開発速度2位
  • プロファイリング採用の兆し
    • 回答者の約20%が、オブザーバビリティスタックの一部としてプロファイリングを使用

最大の課題は技術ではなく「文化」

 今回の調査では初めて、クラウドネイティブ採用における最大の障壁が、技術的な問題ではなく組織・文化的課題となった。多くのチームがクラウドネイティブツールの標準化を進める中で、採用の障壁がツールそのものの複雑さやトレーニングから、内部のコミュニケーション、チーム内の連携、経営層やリーダー間の意思統一へと移っている。

  • 文化が技術的ハードルを追い越す
    • 「開発チームとの文化的な変化」が最大の課題で、回答者の47%に上った
  • 従来の阻害要因が後退
    • トレーニング不足(36%)、セキュリティ(36%)、複雑さ(34%)は前年よりも減少

 CNCFのエグゼクティブディレクターを務めるジョナサン・ブライス氏は、次のように述べている。「Kubernetesは過去10年間でインフラを支える土台となった。AIとクラウドネイティブが融合する今、新しい章に入ろうとしている。Kubernetesは単にアプリケーションをスケーリングするだけでなく、インテリジェントなシステムのためのプラットフォームになりつつある」

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