341職種をAI×データで分析 「伸びる」か「危機」か、あなたの仕事はどっち?Deep Insider Brief ― 技術の“今”にひと言コメント

AIが仕事を奪うのか、それとも伸ばすのか。341職種のデータから見えてきた「危機」「中間」「伸びる」の実態と、“自分の仕事がどこに分類されるのか”を確認する方法を紹介する。

» 2026年03月24日 05時00分 公開
[一色政彦デジタルアドバンテージ]

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連載目次

 2026年3月現在、AIによる仕事の代替は、もはや遠い未来の話ではない。米国では大手テック企業を中心に人員削減が続いており、その動きが止まる気配はない。加えて日本でも、銀行など非テック企業において、AIによる業務効率化を理由とした配置転換のニュースが出始めている。AIが雇用に影響を与える現実は、既に目の前にある。

 そこで参考にしたいのが、341職種を対象に、「AIの影響度」と「雇用の増減」を組み合わせて分析したデータである。AI研究者として知られるアンドレイ・カルパシー(Andrej Karpathy)氏が公開したツリーマップ形式のWebアプリケーションでは、BLS(米国労働統計局)の職業データに、LLM(大規模言語モデル)によるAI影響度の推計を組み合わせて表示している。本稿では、このアプリケーションで参照/表示されているデータを基に、筆者が再構成および可視化、独自の分類による整理を行った。

 まずは、AIの影響が大きく、雇用が減少傾向にある「危機」の職業から見てみよう。DTPオペレーターや一般事務、簿記・経理など、いわゆる定型的な情報処理業務が上位に並んでいる。共通するのは、ルール化しやすく、AIが代替しやすい領域である点だ。

AI影響度が高く、雇用が減少する職業TOP10 AI影響度が高く、雇用が減少する職業TOP10
本稿で用いているBTS雇用増減率は米国のデータであり、日本国内の雇用動向を直接示すものではない点には注意が必要である。

 次に、AIの影響が比較的低く、今後も雇用の伸びが見込まれる「伸びる」職業である。風力発電技術者や太陽光パネル設置工、介護・医療系職種などが並び、現場作業や対人サービスといった、AIが入りにくい領域が中心となっている。

AI影響度が低く、今後伸びる職業TOP10 AI影響度が低く、今後伸びる職業TOP10

 図に示したトップ10だけを見ると危機的に見えるが、全体では景色が異なる。「危機」はわずか約5%17職種)に過ぎない。一方で、「伸びる」約11%37職種)もある。そして残る約84%287職種)という大多数は「中間」に位置している。

 ただし「危機」に分類される職種の中には、就業者数が比較的大きいものも含まれており、職種数が少ないからといって影響を受ける人数まで少ないとは限らない点には注意が必要である。なお今回の「AI影響度」は、「その仕事がどれだけ変化するか」を示す指標であり、「消滅するかどうか」を示すものではない。

――ここからは『Deep Insider Brief』恒例の“ひと言コメント”として、データの読み取り方と具体例、そして自分の仕事で確かめるための方法をコンパクトに補足してみたい。その後で、3つの分類について表と箇条書きで整理する。


一色政彦

 Deep Insider編集長の一色です。こんにちは。

 今回のデータを見て、皆さんはどう感じましたか? 「AI影響度が高い=仕事がなくなる」と短絡的に考えがちですが、事実はもう少し複雑です。例えば、私たちの身近な「ソフトウェア開発者」は、AI影響度が10段階で「9」と極めて高い一方で、雇用成長率も「15%」と高い水準にあります。つまり「AIに強く影響されるが、需要も伸びる」という立ち位置にあります。

 この分析では、以下の基準で職業を3分類しています。分類基準は、BLSの雇用成長率データの分布と、LLMによるAI影響度スコアの分布を参考に、筆者が独自に設定したものです。

  • 伸びる: AI影響度が4以下で、成長率が7%以上
  • 危機: AI影響度が8以上で、成長率がマイナス
  • 中間: 上記以外の大多数

 皆さんも「自分の仕事がどこに分類されるか」が気になりますよね? それを調べるためのWebアプリケーションを作成したので、ぜひご活用ください。

Webアプリケーション「AI職業影響度チェッカー」の表示例 Webアプリケーション「AI職業影響度チェッカー」の表示例

 このWebアプリケーションでは、分類での絞り込みや検索、並べ替えが可能です。CSVファイルのダウンロードにも対応しています。また、職業名をクリックすると、BLSのサイトに移動し、より詳細な情報(英語)を確認できます。

 一部、職業の定義には注意が必要です。例えばコンピュータプログラマーは、コードの記述やテストを担う職種で、日本でいう「コーダー」に近い役割です。一方でソフトウェア開発者は、アプリケーションの設計を含む開発全体を担う職種です。BLSでは両者を区別しているため、読み解く際には注意が必要です。


 それでは、今回の分析から見えてきた職業の特徴を、3つの分類「危機」「伸びる」「中間」に分けて整理する。

AI時代の職業を3分類で整理する

1. 危機(17職種) ― AI影響度が高く、雇用が減少する領域

  • 特徴: データの整理、記録の転記、定型的な顧客対応など、デジタル上で完結する作業が中心。AIが直接代替しやすく、BLSでも雇用減が予測されている
  • 並び順: 雇用増減率(BLSによる雇用成長率)が低い順(マイナスが大きい順)
職業名(日本語) 雇用増減率 AI影響度 英語表記
DTPオペレーター −12% 9/10 Desktop publishers
債権回収/集金担当者 −10% 9/10 Bill and account collectors
一般事務職員 −7% 9/10 General office clerks
簿記/経理補助員 −6% 9/10 Bookkeeping, accounting, and auditing clerks
コンピュータプログラマー −6% 9/10 Computer programmers
顧客サービス担当者 −5% 9/10 Customer service representatives
金融事務員 −5% 9/10 Financial clerks
医療記録転記専門職 −5% 10/10 Medical transcriptionists
調査/リサーチャー −5% 9/10 Survey researchers
コスト見積担当者 −4% 8/10 Cost estimators
ネットワーク/コンピュータシステム管理者 −4% 8/10 Network and computer systems administrators
コンピュータサポート専門員 −3% 8/10 Computer support specialists
地理学者 −3% 8/10 Geographers
保険引受審査担当者 −3% 9/10 Insurance underwriters
政治学者 −3% 8/10 Political scientists
税務調査員/徴税担当者 −2% 8/10 Tax examiners and collectors, and revenue agents
モデル −1% 8/10 Models
危機の職種ランキング(17職種)

 これらの職種は、AI(特にLLM)の得意分野と重なっており、効率化の進展によって人間の労働需要が直接的に減少する可能性が高い。

2. 伸びる(37職種) ― AIの影響を受けにくく、需要が拡大する領域

  • 特徴: 物理的な作業、対面での高度なコミュニケーション、専門設備のメンテナンスなど、「身体性」や「現場判断」が求められる仕事が中心
  • 並び順: 雇用増減率(BLSによる雇用成長率)が高い順(プラスが大きい順)
職業名(日本語) 雇用増減率 AI影響度 英語表記
風力発電技術者 +50% 2/10 Wind turbine technicians
太陽光パネル設置工 +42% 2/10 Solar photovoltaic installers
作業療法士助手 +18% 3/10 Occupational therapy assistants and aides
訪問介護/在宅ケアワーカー +17% 2/10 Home health and personal care aides
理学療法士助手 +16% 3/10 Physical therapist assistants and aides
精神科医療技術者/補助員 +16% 3/10 Psychiatric technicians and aides
マッサージ療法士 +15% 2/10 Massage therapists
作業療法士 +14% 3/10 Occupational therapists
産業機械整備士/保全工 +13% 3/10 Industrial machinery mechanics, machinery maintenance workers, and millwrights
医療機器整備士 +13% 3/10 Medical equipment repairers
義肢装具士 +13% 4/10 Orthotists and prosthetists
フィットネストレーナー/インストラクター +12% 3/10 Fitness trainers and instructors
医療助手 +12% 4/10 Medical assistants
呼吸療法士 +12% 4/10 Respiratory therapists
動物ケア/サービス従事者 +11% 2/10 Animal care and service workers
アスレティックトレーナー +11% 3/10 Athletic trainers
地域保健ワーカー +11% 3/10 Community health workers
理学療法士 +11% 3/10 Physical therapists
半導体製造技術者 +11% 4/10 Semiconductor processing technicians
カイロプラクター +10% 3/10 Chiropractors
獣医師 +10% 4/10 Veterinarians
聴覚士 +9% 4/10 Audiologists
電気工事士 +9% 2/10 Electricians
運動生理士 +9% 4/10 Exercise physiologists
客室乗務員(フライトアテンダント) +9% 3/10 Flight attendants
動物看護補助/実験動物管理士 +9% 2/10 Veterinary assistants and laboratory animal caretakers
動物看護師/獣医技術者 +9% 4/10 Veterinary technologists and technicians
配送ドライバー/ルートセールス +8% 3/10 Delivery truck drivers and driver/sales workers
空調/冷凍設備整備士 +8% 2/10 Heating, air conditioning, and refrigeration mechanics and installers
検眼士(オプトメトリスト) +8% 4/10 Optometrists
ツアー/旅行ガイド +8% 4/10 Tour and travel guides
シェフ/料理長 +7% 3/10 Chefs and head cooks
建設作業員/助手 +7% 1/10 Construction laborers and helpers
歯科衛生士 +7% 2/10 Dental hygienists
電力線設置/修理工 +7% 2/10 Electrical power-line installers and repairers
ネイリスト/フットケア士 +7% 2/10 Manicurists and pedicurists
スキンケアスペシャリスト(エステティシャン) +7% 3/10 Skincare specialists
伸びる職種ランキング(37職種)

 これらの領域は、AIが画面の中だけで完結できない「リアルな世界」の作業が中心であり、今後も強い需要が続くと見込まれる。

3. 中間(287職種) ― 大多数の職業が位置する「変化」の領域

  • 現状: 多くの専門職、技術職、管理職がここに含まれる。仕事そのものはなくならないが、AIの導入によって業務内容の「再定義」が起こる
  • エンジニアの例: 「ソフトウェア開発者」はここに属する。単純なコーディング(プログラミング)はAIに任せ、より高度なシステム設計や問題解決に注力することが求められる

 上記の2分類に含まれない職種の多くは、この「中間」に位置する。約300近い職種が含まれるため、全てを列挙すると非常に長くなることから、ここでは表の掲載を割愛した。

 自分の職業が「中間」のどの位置にあるのか、またどの程度のAI影響を受けるのかは、このツールで検索して確認してほしい。

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