Google Cloudが日本国内で「ソブリンクラウド」ソリューションを強化している。KDDIやNTTデータはこれを採用し、顧客への提供を進めている。どんなものなのかを具体的に解説する。
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AI(人工知能)活用の進展により、日本国内でプライベートインフラ需要が高まっている。Google Cloudが、こうしたニーズの取り込みに本腰を入れている。
グーグルクラウドジャパンは2026年3月下旬に実施した説明会で、今後パートナーとともに取り組む3つの事業機会の一つに「ソブリン需要」を挙げた。この需要に対応するため、Google CloudのAIサービスを活用しながらユーザー側が厳格な制御を行えるよう、「ソブリンクラウド」で複数の選択肢を提供する。
ソブリンクラウド(sovereign cloud)は元来、自国の法律や規制に基づいてクラウドの主権を確保するという意味で、いわば国単位の話。だが、Google Cloudは組織レベルのニーズにも応えるサービスを世界で展開している。これを日本でも本格的に推進していく。
本記事では、Google Cloudのソブリンサービスをあらためて具体的に紹介する。
Google Cloudが現在提供するソブリンクラウドソリューションは3つある。
これは3つの最も“手軽”な選択肢と位置づけられている。手軽である理由は、Google Cloudの既存ユーザーにとって導入が簡単だからだ。データをGoogle Cloudのパブリッククラウド基盤に置いたままでよく、移動などの作業を行う必要はない。その上でデータ管理を強化できる。利用できるGoogle Cloudサービスについての制限も少ない。
Data Boundaryでは、ユーザー組織がデータの所在地(リージョン)を指定し、アクセスをコントロールする。指定リージョン以外に移動することができない。暗号キーはユーザーが管理する。
Googleによる保守についても、データアクセスを特定の国籍や資格を持つエンジニアに限定できる。また、アクセスの度にユーザー組織の承認を要求する設定が可能。
日本では、「Assured Workloads」という包括的なソリューションのメニューとして提供中だ。
Google Cloud Dedicatedは、国内パートナーが日本の規制/基準に基づき、専用インフラで提供するGoogle Cloudのホスティングサービス。データだけでなく、運用の承認やサポートも日本国内の基準とスタッフで行われ、外資系クラウド特有の運用のブラックボックス化を防げる。ただし、マルチテナントサービスであり、サーバやGPUをはじめとする物理インフラは、基本的に複数ユーザーで共用する形をとる。
最も高度なソブリンクラウドサービス。特定ユーザー組織専用の物理インフラ上で、Google Cloudの各種サービスを活用する。オンプレミスあるいはパートナーのデータセンターに専用の物理GPUサーバを導入し、GeminiなどのLLM(大規模言語モデル)やVertex AI、データベース、Agentspaceといった機能をローカルサーバ(のKubertnetes環境)で動かす。
GDC Air-gappedは、「エアギャップ」という名称が示す通り、外部との接続は全くなしに自律動作する。Google Cloudとの接続も不要だ。LLM のモデルデータ、プロンプト、学習データなどの流出を物理的に防ぐとともに、運用を完全にコントロールできる。
KDDIは2026年1月22日、シャープ堺工場跡地に構築したAIデータセンターの稼働を開始した。製薬業界、製造業、国産AIモデルの開発などの取り組みが始まっているという。同データセンターではソブリン性の確保を特徴の一つに挙げているが、この点でGoogle Cloudと協業している。
また、NTTデータはフルスタックで公共組織や民間企業向けのAI活用支援サービスを展開している。インフラレベルではGoogle Cloud DedicatedとGDC Air-gappedの双方に対応した取り組みを進めているという。
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