東京ガスが障害対応を3時間から30分に短縮 どう実現したのか?「New Relic」とDevOpsで迅速化

オブザーバビリティーツール「New Relic」を導入した東京ガスは、受付システム「TG-WISP」における問題の対処にかかる時間を大幅に短縮した。その背景にある運用の変化とは何か。

» 2026年04月15日 13時00分 公開
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 東京ガスは、システムの可視化や監視を支援するオブザーバビリティーツール「New Relic」を導入した。ガス・電気の使用開始や停止といった、各種手続きを受け付けるWebシステム「TG-WISP」の安定運用が目的だ。TG-WISPは月間最大300万件の手続きリクエストを処理し、顧客に加えて、コンタクトセンターのオペレーター約600人が日常的に利用する。

 TG-WISPの利用者数は1日平均1万2000人に上る。特に2月から4月にかけての繁忙期はアクセスが集中し、1日平均の受付数が10万件、月間最大300万件に達するという。同システムは当初、オンプレミスインフラで動作し、ユーザー数は100人程度に限られていた。ユーザー数と機能の拡大に伴い、東京ガスは2022年に、同システムをクラウドサービス群「Microsoft Azure」に移した。

なぜ障害対応を迅速化できたのか

 New Relicを選定する上で東京ガスは、ITインフラやアプリケーション、ユーザー体験を一体的に監視できることや、機能ごとの課金ではない料金体系を評価した。IaC(Infrastructure as Code)ツールと連携し、ダッシュボードなどの監視・可視化の設定をテンプレート化して複数のシステムに展開できることや、観測結果を視覚的に表示できることも採用を後押ししたという。

 東京ガスは2023年にNew Relicの導入プロジェクトを開始した。ユーザー視点でサービスの稼働状況や応答を監視する外形監視(シンセティックモニタリング)機能の「New Relic Synthetics」を起点に、APM(アプリケーションパフォーマンス管理)やITインフラ監視といった機能に検証範囲を広げ、段階的に本番運用へと移行した。

 New Relicの導入後は、ダッシュボードでシステムのログを一元的に確認できるようになった。エラー1件当たりの調査時間は、従来の10分の1程度になったという。

 東京ガスは、TG-WISPの運用を担う東京ガスiネットと、開発を担うサーバーフリーの3社でDevOps(開発と運用の融合)体制を構築した。障害などの問題発生時には関係者間でWeb会議を開き、New Relicのデータを共通のダッシュボードで確認しながら、原因の特定と対処方針を検討する。これにより問題発生から意思決定までの時間が、従来の約3時間から約30分へと縮まった。

ITインフラ担当者もアプリケーション由来の問題に対処可能に

 New Relicには、一連の処理に対して「トレースID」を付与し、その流れを可視化する機能がある。この機能により、遅延やエラーが発生している箇所の把握が容易になる。東京ガスでは、従来はアプリケーションの問題に踏み込めなかったITインフラ担当者でも、ソースコードを確認することなく、通信内容を確認しながら問題を切り分けられるようになったという。

 東京ガスはNew Relicの導入により、TG-WISPの処理ごとのリソース消費を可視化できるようになった。データに基づいてリソース配分を見直すことで、余分なクラウドコストの削減につなげる。今後はTG-WISPでの取り組みを基に、New Relicの活用を他のシステムにも広げる方針だ。本事例は、New Relicが2026年3月10日に発表した。

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