Cursorを開発するAnysphereは、同社の技術サポートチームがCursorを活用してサポート業務を効率化している具体的な手法を公開した。サポートエンジニアのスループットが5〜10倍に向上したという。
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AIコーディングエディタ「Cursor」を開発するAnysphereは2026年3月3日(米国時間)、同社技術サポートチームによるCursor活用事例をブログで公開した。技術サポート担当が執筆した記事によると、サポート対応の75%以上がCursor上で実施されており、サポートエンジニアのスループット(処理能力)は5〜10倍に向上したという。
技術サポートにおける調査作業の本質は、適切なコンテキスト(背景情報)の収集にあるという。従来のサポート業務では、コードやログ、チームのナレッジ、過去のサポート履歴などを複数のツールから個別に収集する必要があった。Cursorでは、これらの情報を1つのセッションに統合することで、そのボトルネックを解消したという。
調査はCursorの「Askモード」から開始する。障害の症状を入力すると、Cursorは関連するプロダクトの挙動をさかのぼって追跡する。コードベースをローカルで利用できるため、同一セッション内でプロダクトコードやドキュメント、社内ツール全体を対象にしたインデックス作成とセマンティック検索が可能になる。
ここで、マルチルートワークスペースが真価を発揮する。プロダクトのコンテキストは複数リポジトリにまたがるため、「なぜこのボタンは無効化されているのか?」といった問い合わせに答えるには、フロントエンドのロジックとバックエンドのポリシーチェック、ドキュメントを横断して調査する必要がある。関連するリポジトリを1つのワークスペースに統合することで、そうした質問を1つのスレッドで処理できる。
調査に必要なコンテキストをCursor内で直接取得するために、MCP(Model Context Protocol)サーバを活用している。MCPサーバを通じて統合している情報源は以下の通り。
これらを統合することで、サポートエンジニアは複数のツールを行き来せずに必要な情報を収集できる。
Cursorサポートチームでは、障害調査を次の手順で進める。
顧客からエラーの報告があった場合、問題の再現性の有無と、「障害がCursorのどの層で発生したか(クライアント側、APIエッジ層、下流の依存サービス、認証)」を確認する。サーバ監視サービス「Datadog MCP Server」を使ってログやトレースを調査スレッド内に直接取り込み、原因候補を絞り込む。
新しいサポートチケットが来た場合、サポートプラットフォームやSlackと連携したMCPサーバを使って過去の関連スレッドを検索する。エラー文字列やリクエストIDなどの厳密な識別子で検索し、最新のステータス、回避策、担当者情報を持つスレッドを取得する。
情報共有ツール「Notion MCP」を使って関連するランブックをスレッドに取り込み、発生している事象と照合することで、仕様通りの動作かバグかを判断する。バグと判断した場合はエスカレーションの対象とする。
調査完了後、タスク管理ツール「Linear MCP」を使ってそれまでのコンテキストを引き継ぎ、エンジニアリングチーム向けのフォーマット済みエスカレーションチケットを同じスレッドから直接起票する。
複数の顧客が同じ問題に直面している場合は、サポートドキュメントの改善が必要なサインと判断する。Slackで更新内容とともに「@Cursor」をメンションすると、クラウドエージェントがドキュメント用リポジトリに対して自動でプルリクエストを作成する。
頻繁に繰り返される手順については、スラッシュコマンドを定義して自動化している。サポートチケットの作成、顧客への返信文の下書き、既知の問題の検索、ログの検索などが代表的なコマンドとして運用されている。
さらに、Rules(ルール)とSkills(スキル)を組み合わせることで、調査プロセスの一部を自動化している。具体的には以下のような用途で活用されている。
複数の調査ステップを逐次ではなく並列で実行するために、サブエージェントを活用している。サポートプロセスで並列実行されるサブエージェントは以下の4つ。
これら4つのサブエージェントの結果は1つの出力に統合され、サポートエンジニアがレビューして送信する。
技術サポート担当は各サブエージェントには狭いスコープ、明確な出力、明示的な制約を設けることが重要だと説明。複数のツールやチーム間を行き来する従来のアプローチと比較して、大幅に生産性が向上するため、小規模なサポートエンジニアチームでも急速に拡大するユーザー基盤を効果的に支援できるようになるとしている。
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