エージェント型AIの意思決定は、人の検証が前提となっていることがDynatraceの調査で明らかになった。企業はどのように検証しているのか。
オブザーバビリティー(可観測性)ツールベンダーのDynatraceは2026年3月26日、AIエージェントを含むエージェント型AI(エージェンティックAI)に関する調査レポート「2026年版エージェント型AIの動向」を発表した。エージェント型AIの開発・導入に関与する世界のシニアリーダー919人を対象に、2025年11月から12月にかけて実施した調査結果をまとめたものだ。
調査対象のうち、日本の回答者は100人だった。2026年にエージェント型AI関連の予算増額を見込んでいるとの回答は、日本では72%となり、グローバル平均の74%とほぼ同水準となった。ただし200万ドル(約3億2000万円《1ドル=約160円換算》)以上の大幅な増額を図るとの回答は、グローバル平均の48%と比べて日本では13%にとどまり、慎重な姿勢がうかがえる。
エージェント型AIを社内と社外の両方で活用しているとの回答は、日本では11%だった。これはグローバル平均の50%を大きく下回る。
自律型AIエージェントのみを使用しているとの回答は13%にとどまり、人が監督するAIエージェントのみを利用するとの回答は23%だった。最も多かったのは両者の併用で、64%を占めた。
人がエージェント型AIの意思決定を検証している割合は69%(日本に絞ると74%)だった。主な検証方法としては、データ品質チェック(50%)やAIエージェントの出力に対するレビュー(47%)、ドリフト(時間経過によるAIモデルの挙動変化)および異常の監視(41%)が挙がった。44%の組織が、AIエージェント間の通信フローを手動で確認していた。
オブザーバビリティーをエージェント型AIの検証や監視に生かす動きが広がっている。オブザーバビリティーを活用するタイミングについては、エージェント型AIの導入段階での活用が69%で最も多く、運用段階での活用(57%)、開発段階での活用(54%)が続いた。
「オブザーバビリティーは、エージェント型AIの活用推進に必要な透明性と信頼を支える役割を担う」。Dynatraceのチーフテクノロジーストラテジストであるアロイス・ライトバウアー氏は、こう指摘する。
エージェント型AIに関するプロジェクトの約50%は、概念実証(PoC)やパイロット(試験導入)段階にとどまる。一方で11件以上のプロジェクトを同時に進めているとの回答は26%あり、企業間での取り組みの差が開きつつある。
プロジェクトの優先事項を聞くと、リアルタイムのインサイトによる意思決定能力の改善(51%)が最も多かった。わずかな差で、システムパフォーマンスおよび信頼性の向上(50%)と、運用コスト削減に向けた内部効率の改善(50%)が挙がった。
本番環境へのエージェント型AIの導入を阻む要因としては、セキュリティやプライバシー、コンプライアンスの懸念(52%)が最も多く、AIエージェントを大規模に管理・監視する技術的な課題(51%)が続いた。
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