Google I/O 2026では、Antigravity 2.0、Gemini 3.5 Flash、WebMCPの試験運用開始、エージェントの並列実行デモなど、開発現場の景色を塗り替えるような発表が続きました。それらを並べて眺めながら、エージェント時代のソフトウェア開発がいまどこに来ているのかを読み解いてみたいと思います。
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今月(2026年5月)にGoogleが開催した「Google I/O 2026」が、「エージェント時代の幕開け」を強く印象付けたことに異論はないでしょう。スンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)氏が初日の基調講演の壇上で語った数字のうち、私の目を引いたのは「月間3.2京トークン」「毎分190億トークン」というGoogle AIモデルの処理量でした。昨年(2025年)は月間480兆トークン、一昨年(2024年)は月間9.7兆トークンだったので、文字通り桁が変わり続けています。AIエージェントの利用が「実験」から「常用」のフェーズに入ったことを示す数字です。
とはいえ、数字よりも本質的な変化は、開発者向けの製品設計にありました。AIを開発者の「補助ツール」として位置付けるアプローチから、開発者がエージェント群を「指揮する」アプローチへ。一連の発表は、この設計思想を別々の角度から具体化したものとして読み解けます。
今回は、私自身が特に注目した6つのテーマを取り上げます。「CLIの主役化」「Antigravityのエディタ切り離し」「WebMCPの一般公開」「マルチエージェントの並列実行」「AGENTS.mdとMarkdownの位置付け」「24時間稼働するパーソナルエージェント」です。
最初に驚いたのが、「Gemini CLI」の廃止と「Antigravity CLI」への一本化でした。Gemini CLIはAnthropicの「Claude Code」やOpenAIの「Codex」の後塵を拝していたとはいえ、それなりに普及していたツールでしたから、廃止してまでAntigravity CLIへ寄せるというのは相当な決断です。
Goでスクラッチから書き直されたAntigravity CLIは、デスクトップアプリ版のAntigravity 2.0と「同じエージェントハーネス」を共有します。ターミナルで開始したセッションをそのままデスクトップUIに引き継いで作業を続行でき、CLIとGUIが等価の窓口になるという設計です。
連載第5回で、私は「CLIを勧める理由」を書きました。コンテキストを完全にコントロールできること、判断の所在が明確になること、思考が構造化されること。本質はコンテキストエンジニアリングの実装手段としてのCLIだ、という主張でした。Googleが今回、CLIを補助的なターミナル機能から、エージェント基盤のファーストクラスのインタフェースへ昇格させたのは、この主張と方向性を一にしています。
ただし、Gemini CLIに親しんできた人にとって、これはお別れの儀式でもあります。CLIが昇格する代わりに、慣れた道具が1つ消える。私自身、ちょっとした寂しさも感じました。「CLIの時代が来た」と単純に喜ぶよりは、「どのCLIに乗り換えるか」という現実的な悩みを持つことになった、というのが正直な感想です。
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