オープンソースのAIアシスタント「OpenClaw」が、過去最大規模となるアップデートを実施した。公式ブログポストは冗談交じりに「偶然、OpenClaw 2.0と呼べるものになった」と表現しているが、インストール、メッセージング、メモリ、スキル、モデル、自動化、ブラウザ、ネイティブアプリ、プラグイン、セキュリティなど、ほぼ全機能に変更が及んでいる
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オープンソースのAIアシスタント「OpenClaw」が、過去最大規模となるアップデートを実施した。正式なバージョン名は「v2026.8.1」だが、開発チームはこのリリースを事実上の「OpenClaw 2.0」と位置付けている。
933人のコントリビューターが参加し、1万6000件を超えるプルリクエストの結果、新バージョンが誕生した。インストール、メッセージング、メモリ、スキル、モデル、自動化、ブラウザ、ネイティブアプリ、プラグイン、セキュリティなど、ほぼ全機能に変更が及んだ。
2026年8月30日(米国時間)に公開された公式ブログポストのタイトルは「OpenClaw 2.0, Accidentally」。「Accidentally」(偶然)という表現には、今回の2.0が当初から計画されたものではなかった、という意味が込められている。
もともとの出発点は、OpenClawのインストールを簡単にすることと、ブラウザアプリを一から作り直すことだった。しかし、この2つを本格的に改善しようとすると、単に画面やセットアップ手順を変更するだけでは済まなかった。
ユーザーが最初に触れる部分を改善するには、セッション管理、状態の保存、権限管理、プラグイン、モデルの扱い、リリースプロセスなど、OpenClawの基盤そのものを見直す必要があった。結果として、変更がほぼシステム全体に波及し、「気付けば2.0と呼ぶべき規模になっていた」というわけだ。
背景には、プロジェクト自体の急成長もある。OpenClawはそれまで230日間で106回のリリースを行ってきた。多くの場合、前のリリースから1、2日程度で次のリリースを出していた。それが今回は約7週間の間、通常のリリースを止めている。
開発チームは、開発のペースと参加者が増えたことで、従来のアーキテクチャとリリースプロセスが追い付かなくなったと説明する。そこで両方を作り直し、新規インストールだけでなく既存環境からのアップグレードも含めて検証した。
では、OpenClaw 2.0では何が改善されたのか。最初の大きな変更は、オンボーディングの刷新だ。
従来のように最初から多くの項目を設定するのではなく、OpenClaw 2.0ではユーザーのコンピューターに既に存在するAIへのアクセス手段を活用する。既存のChatGPTやClaudeのサブスクリプション、APIキー、ローカルモデルなどを検出し、利用可能な環境からセットアップを進められるようにした。
さらに、初回セットアップを「全て設定してから使う」のではなく、まずAIとの会話を始め、残りの設定は後から行える設計に変更した。ローカルモデルについても、WebやmacOSのオンボーディングからモデルのダウンロードを行えるようにしている。
つまり、OpenClawを「自分で多数の設定を行って使う開発者向けツール」から、より早く実用的なAIエージェントを立ち上げられる環境へと近づけた格好だ。
もう一つの出発点だったのが、ブラウザアプリの全面的な再構築だ。
新しいControl UIは、単なる管理画面ではなく、OpenClawとの会話を始めるための主要なインタフェースとして設計された。起動すると直接エージェントとの会話を開始でき、そこから設定を進めたり、進行中の作業を確認したりできる。
今回のアップデートでは、会話履歴の検索、セッションの整理、ダッシュボード、インタラクティブなウィジェットなども強化された。過去の会話をキーワードで検索して該当箇所を開いたり、チャット内に表示したウィジェットをセッションのダッシュボードに固定したりできる。
OpenClaw 2.0では、AIエージェントのセッションをGatewayホストだけでなく、ペアリングしたデバイスや一時的なクラウドワーカー上でも実行できるようになった。
セッションの会話履歴、Gatewayが管理するワークスペース、モデルプロバイダーの認証情報はGateway側に保持される。一方、コマンド実行、ファイル編集、ツール呼び出しなどの作業は、ペアリング済みの自分のマシンや、Crabbox経由で用意したクラウドワーカーに切り替えられる。リモート側での作業結果は、管理対象のワークツリーに反映される。
また、再利用可能なマシンイメージやプロジェクトのシードを利用することで、後続のクラウドセッションを毎回ゼロから構築せずに開始できる。クラウドワーカーが停止・破棄されても、Gatewayに保存されたセッションと永続状態は維持され、次のメッセージに応じて代替ワーカーを起動できる。
さらに、共有クラウドセッションによって、同じセッションに別のユーザーを参加させたり、作業を引き継いだりできる。所有者や管理者は、閲覧、提案、ドラフト作業、直接参加といった権限を設定できる。OpenClawの開発チーム自身も、この仕組みを使ってOpenClawの開発を進めていると説明している
メモリ機能も大きく変わった。
Active Memoryを有効にすると、個人利用では同じエージェントの過去の会話から、必要なコンテキストを取得できるようになった。また、バックグラウンドでモデルを使って記憶を整理する「Grounded dreaming」も導入。出典情報を伴った内容を長期メモリへ昇格させ、「Dream Diary」として記録する。
さらに、AIが再利用可能な知識や教訓を自動的に取り込み、承認済みのスキルを自動適用する「Automatic self-learning」も追加された。ユーザーが作成したスキルについては、勝手に変更せず、提案や明示的な設定に従う仕組みになっている。
単に過去の会話を参照するだけでなく、使い続けることでエージェント自身がそのユーザー向けに成長していくことを狙った機能といえる。
OpenClaw 2.0では、エージェントに仕事を任せ続けるための自動化機能も強化された。
例えば、作成元の会話に紐付いた自動化やループ処理を設定できるようになったほか、一度承認した特定の操作について、繰り返し実行を許可できる。ジョブや操作内容が変われば、改めて承認を要求する仕組みだ。
また、実験的機能として「Swarm」も用意された。これは複数のサブエージェントに処理を分散し、結果を構造化して回収する仕組みで、Webやネイティブのチャット画面から進捗も確認できる。
さらに、A2A 1.0対応のチャネルプラグインも追加され、認証された別のエージェントにテキストタスクを送信したり、タスクの状態を取得したりできるようになった。
AIエージェントがメールやファイル、外部サービスなどを操作するようになるほど、「何ができるか」を制御する仕組みが重要になる。2.0では、この部分にも多くの変更が入った。
例えば、セッションごとに権限モードを指定し、ファイルシステムへのアクセス範囲をワークスペースやworktreeに固定できるようになった。チーム利用では、ユーザーに役割を割り当て、アクセスできるエージェントや他人のセッション、オペレーター権限を制限できる。
認証情報についても、チームで共有する資格情報や環境変数をSQLiteで管理でき、秘密情報は書き込み専用として扱う。保護された秘密情報の送信先を特定のホストに限定する仕組みも導入された。
外部プラグインについては、インストール前に機能、ソース、バージョン、アーティファクトを確認できるほか、任意の実行可能プラグインを導入する場合には明示的な強制オプションを要求するなど、サプライチェーン面も強化している。
OpenClaw 2.0ではインストールを簡単にし、会話を入り口にして、メモリによってユーザーを理解し、自動化によって仕事を任せ、複数のエージェントや人間、デバイスで作業を引き継ぐ。そして、その一連の操作を権限管理や秘密情報の保護によって制御する。
開発チームが「意図せず2.0になった」と表現する一方で、その中身は、AIエージェントを「一度使って回答を得るもの」から「継続的に仕事を任せ、育て、必要に応じて人間や別のエージェントに引き継ぐもの」へ変えていくための、かなり大規模な再設計になっている。
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