爆発的な普及を見せているMCP。共同開発者のデビッド・ソリア・パラ氏が、MCPがどう広がってきたのか、これから何を目指していくのかを講演で語った。
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Model Context Protocol(MCP)は、AIとツール/データを接続するプロトコルとして爆発的に普及している。
Anthropicのエンジニアたちが生み出したこのオープンソースプロトコルは、今やAIコミュニティー全体に浸透する業界標準になっている。
2026年第1四半期の時点で、ClaudeがMCP互換の連携ツールを通じて処理したツール呼び出しの回数は、毎月12億回以上に達している。SDKの月間ダウンロード数は5億回以上という。OpenAIをはじめ、業界各社は競合かどうかにかかわらず、こぞってMCPを利用するようになっている。
MCPの共同開発者であるAnthropicのデビッド・ソリア・パラ(David Soria Parra)氏は2026年9月10日、「AGNTCon+MCPCon Japan 2026」で講演し、MCPのこれまでの歩みと今後の方向性を語った。
MCPが2024年11月に公開された当時、AIモデルにとってツール呼び出しは新たな概念だった。モデルは長時間のタスクを人間の介在なしに実行するようには作られておらず、MCPを使ってもデモ程度のものしか作れなかった。
2025年に入ると、最初のAIエージェントユースケースとして、コーディングエージェントが広がり始める。AIモデルの制約にもかかわらず、AIとツールの連携が進められるようになった。
「コーディングエージェントは、単体テストやコンパイラなどの自動化された仕組みを使って、AIモデルの作業を検証し、修正へと導ける。モデルが一度に数時間分の作業しかできなくても、こうした仕組みからのフィードバックを与えることで、作業を正しい方向へ導き続けられる」(ソリア・パラ氏、以下同)
本格的なユースケースの登場を受けて、モデルの能力は大幅に向上してきた。それがさらに新たなAIエージェントのユースケースにつながった。コーディングだけでなく、知識労働や科学研究、数学など、幅広い分野で実用化が進んできたのだ。
「例えば、財務や会計の担当者は、Microsoft 365やGoogle Workspace、社内システム、各種SaaSを使って仕事をしている。AIエージェントがこうした業務を代行するには、単に高性能なモデルを用意するだけでは足りない。AIが実際に必要なシステムやデータにアクセスし、操作できなければならない」
モデル能力が向上してエージェントが知識労働へ広がり、安定した接続の重要性がさらに増したことが、MCPなどの標準の普及につながったという。
一方、MCP自体もこれまでに大幅な進化を遂げてきた。
過去18カ月の間で、リモート接続対応、認可機能の強化、コンテンツ/アプリケーションの統合、ステートレス化といった大規模な更新が行われている。
今後のMCPについて、ソリア・パラ氏が挙げたキーワードの一つが「エージェンティックメッセージング」だ。
現在のツール呼び出しは、基本的には「要求を送って結果を受け取る」という比較的単純なやり取りを想定している。しかし、AIエージェントがより長時間にわたって自律的に仕事をするようになれば、それだけでは対応しにくい。
そこで導入が進められているのが「MCP Tasks」という概念。これは、数分、数時間、数週間、場合によっては数カ月かかるような長時間の処理を扱えるようにするもの。例えばMCPサーバ側のエージェントに仕事を依頼し、処理が完了した時点で結果を返してもらうといった使い方が可能になる。
もう一つの方向性が「スキル」だ。
単なるツールの集合ではなく、エージェントが特定の仕事を実行するために必要な能力を「スキル」としてMCP経由で提供する。これにより、企業内で利用するスキルを中央のレジストリに集約し、エージェントに配布するといった仕組みも可能になるという。
ソリア・パラ氏は、こうした機能進化の一方で、認証・認可が重要になってくると強調した。
今後、AIエージェントは人間に代わってより多くの仕事を自律的に実行するようになる。エージェントがどのユーザーのために動いているのかを明確にし、権限やポリシーに基づいて適切に認可できる仕組みを整備しなければならない。
MCPコミュニティーでは、これからも認証・認可に関する取り組みを進めていくという。
ソリア・パラ氏が描くMCPの未来は、単にAIから外部ツールを呼び出すためのプロトコルではない。
「本番環境におけるエージェントのニーズに応えるためにMCPを進化させていく」
エージェントの自律化に伴って、AIが利用するシステムやデータ、他のエージェントをどう接続するかがますます重要な課題になっていく。そのための共通基盤として、MCPを発展させていくと話す。
今後12カ月の重点項目として同氏が挙げたのは、上述の通り長時間処理を可能にするMCP Tasks、ツール以上の意味を表現するためのスキル、そしてエージェント時代に対応した認証・認可などだ。
「AIエージェントはこれから1〜3年で、世界の知識労働を進めるデフォルトの方法になるかもしれない」
目指すのは、「AIにツールを使わせるためだけのプロトコル」ではない。長時間動作するエージェントやスキル、他のシステムやエージェントをつなぎ、エージェント同士のやり取りを支える「エージェントの基盤」になることだとしている。
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