GMOインターネットは2026年10月21日、「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスを公表した。2026年10月19日に顧客から問い合わせを受けて調査を開始し、翌20日に一部の顧客のサーバ環境で第三者による不正なプログラムが設置されていることを確認。新規申し込みとコントロールパネルを停止した後、21日午前4時から被害拡大防止のため全プランのサーバを順次停止した。(第1報)
2026年10月22日の第2報では、サーバ内に保存されていた取引口座のログイン情報などが第三者に取得され、不正利用された可能性があると説明した。実際に、証券会社やFX会社などの取引ツールを利用していた顧客から、取引口座で第三者による不正操作が行われたとの報告が寄せられていた。
同社は顧客に対し、取引ツールや取引口座のパスワード変更、ログイン中のセッションの切断、取引履歴と残高の確認などを要請した。パスワードを変更しても既存のセッションが維持される場合があるため、証券会社やFX会社への連絡も含めて対処するよう求めた。(第2報、第3報)
2026年10月23日の第3報では、個別の情報取得や不正利用の有無、範囲について引き続き調査中と説明。パスワードの変更だけでなく、ブラウザに保存した認証情報や他サービスで使い回しているパスワードの変更、多要素認証の有効化なども呼び掛けた。
2026年10月24日の第4報では、システムにセキュリティ上の問題が存在し、不正アクセスと顧客情報の外部持ち出しがあったことを確認したと公表した。一部顧客からは、取引口座で身に覚えのない取引があったとの報告も寄せられている。
GMOインターネットは2026年10月24日、顧客保護に向けた特別措置を発表した。現在サービスを利用している全顧客に対し、金銭的被害の有無にかかわらず、一律5000円のお見舞金を支払う。また、本件の不正アクセスに起因すると同社が認めた不正取引について、顧客の取引口座に発生した実現損失を補償する方針を示した。補償対象には取引の差損や手数料などが含まれる一方、市場変動による損失や逸失利益、その他の間接的損害は含まれない。(第4報)
サービスの再開については、不正アクセスを受けたシステム基盤をそのまま再利用せず、セキュリティアーキテクチャを抜本的に刷新する方針を示した。引き続きWindowsデスクトップ環境を必要とする顧客には、独立したクラウド基盤上で運用する代替サービスへの移行を案内し、移行後6カ月間を無償とする。顧客の同意なしに移行することはないとしている。(第4報)
同日公表した第5報では、顧客自身のPCやスマートフォンに対するウイルス対策ソフトウェアのフルスキャン、データのバックアップ、認証情報の変更などを改めて要請した。2026年10月26日の第6報でも、こうした対策を再掲するとともに、調査への協力を呼び掛けた。
GMOインターネットは2026年10月26日夜、第7報で顧客から預かった端末の解析を開始したと発表した。顧客の協力を得て端末を回収し、GMOインターネットグループのホワイトハッカーチームが、マルウェアやランサムウェアの有無を含めて調査を進めた。
同社は攻撃者とみられる者から、2026年10月27日正午に顧客情報を公開し、ランサムウェア攻撃を実施するとの予告を受けていた。これを受け、第8報ではセキュリティ企業やAI企業などから協力の申し出があったことを明らかにした。顧客に対しては、バックアップを取得した上でネットワークを切断し、PCの電源を落とすよう要請した。
第9報では、解析を終えた端末からはマルウェアが確認されていないと説明した。ただし、調査は継続中であり、全ての顧客端末の安全を確認したわけではないとした。ランサムウェア被害に遭った顧客には、被害状況を確認した上で、同等の性能を持つ新しいPCを提供する方針も示した。
なお、これらの端末調査は顧客側のPCに対するものであり、サービスのシステム基盤で発生した不正アクセスの原因や侵入経路が解明されたことを意味するものではない。(第7報、第8報、第9報)
2026年10月27日午後、GMOインターネットは第10報で、攻撃者とみられる者が同社および顧客に関する情報と称するデータを公開したことを明らかにした。同社は同日午後0時30分に公開を確認し、内容の確認を進めていると説明。公開情報には事実と異なる内容が含まれる可能性もあるとした。
同社によると、同日午後1時55分時点ではランサムウェア攻撃は確認されていなかった。公開された情報に顧客の情報が含まれていることを確認した場合は、対象顧客に個別に連絡するとしている。(第10報)
続く第11報では、公開情報の転載やSNSでの再投稿、情報掲載サイトへのリンク共有を控えるよう要請した。情報の拡散は顧客のプライバシー侵害や詐欺などの二次被害につながる恐れがあるためだ。同社は、悪質性の高い拡散行為について、発信者情報の開示請求や刑事告訴・刑事告発などの法的措置を準備するとした。
また、攻撃者からの要求には応じない方針を明示した。要求に応じても、取得された情報の削除や不正利用の防止が保証されず、犯罪組織への資金提供によってさらなる攻撃を助長する恐れがあるためだとしている。(第11報)
2026年10月27日の第12報では、公開情報に顧客の情報が含まれていると同社が確認した顧客に対し、第4報で発表した一律5000円のお見舞金とは別に、「GMO特別お見舞金」を支払う方針を公表した。特別お見舞金は情報の公開1件につき上限300万円とし、個別の状況に応じて対応する。
同社はさらに、犯人の特定・検挙と事件の解明につながる情報を募るため、「GMOサイバー犯罪撲滅・懸賞金」を創設した。報奨金の総額は最大100万米ドルで、参考換算額は約1億5000万円としている。(第12報)
2026年10月28日の第13報では、顧客情報とされるデータが掲載されていた犯人サイトについて、関係事業者などと連携して対応を進めた結果、同日午前4時ごろにドメインが停止されたことを確認したと発表した。一方、同様のサイトが新たに開設される可能性も踏まえ、監視とテイクダウンに向けた対応を続けるとしている。
同日午後の第14報では、懸賞金サイトの開設から6時間で113件の情報提供が寄せられたと公表した。また、情報公開サイトのURLや掲載内容の拡散を防ぐため、X上の関連投稿に累計20件の警告連絡を実施したという。寄せられた情報については内容の確認・精査を進めており、同社は引き続き情報収集と拡散防止に取り組む方針だ。
第14報の公表時点で、同社は預かった端末の解析においてマルウェア感染やランサムウェア攻撃の痕跡は確認されていないと説明している。ただし、これは調査対象となった端末に関する途中経過であり、サービス基盤への侵入経路や情報流出の全容が解明されたことを示すものではない。(第13報、第14報)
同社は第15報で、犯人の特定につながると考えられる有力な情報を入手し、警察および関係各所に提出したとしている。
今回の事案では、不正アクセスの原因や情報流出の全容が明らかにならない段階から、攻撃者による情報公開と、それに対抗する企業側の対応が注目を集めた。懸賞金制度を通じた情報収集や警察への情報提出など、事件の解明に向けた動きは進んでいるが、犯人の特定や被害の全容解明に至ったわけではない。
だからこそ、現時点で確定している事実と、調査中の事項、外部から提示された仮説を区別して追う必要がある。これは報道機関だけでなく、SNSで情報を発信するセキュリティ技術者や、それを受け取る企業の担当者にも求められる姿勢だ。攻撃者が作り出す情報戦に巻き込まれず、顧客保護と原因究明に必要な情報を見極めることが、事件の「その先」を考える上でも重要になるだろう。
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