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30歳過ぎでも現役エンジニアでいるために必要なこと仕事を楽しめ! エンジニアの不死身力(16)(2/2 ページ)

あなたはエンジニアの仕事を楽しんでいますか? この連載では、仕事を「つらいもの」から「楽しいもの」に変えるためのヒントを考えていきます。

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「変わりたくない」エンジニアだった私

 私自身、似たような経験をしています。私は「変わりたくない」エンジニアでした。嫌々スタッフをまとめる仕事を始めたため、「自分はもはやエンジニアではない」という敗北感を味わいました。

 しかし、その経験が私の人生を大きく変えました。

 今、私は研修講師などの仕事を中心に活動しています。エンジニア時代は、自分が持っている知識を分かりやすく伝えることがこんなに楽しい仕事だとは知りませんでした。ITの仕事も継続していますが、技術スキル以外のビジネススキルを身に付けたことで、顧客のニーズに合わせた的確なアドバイスをできるようになりました。変化を受け入れたからこそ、新しい面白さを見つけたのです。

方法は独立だけじゃない。「社外に目を向ける」という選択

 「結局、独立しなければ自分の好きな仕事はできないのだろうか?」――そんなことはありません。

 もし、職場の環境が変化したことでエンジニアの仕事が続けられなくなったら、社外に目を向けてみるのはいかがでしょうか。社外にもコミュニティ活動やオープンソースソフトウェアへの貢献、NPOへの参加など、ITに関われる機会はたくさん存在します。

 仕事のやりがいや働きがいは、1つの企業だけで得られるものではありません。

 経営の父P・F・ドラッカーは、次のように言っています。

 「今日では企業が答えとはならないことが明らかになっている。第一に、いかなる企業といえども、一人ひとりの人間に真の安定を与えることはできないからである。日本の終身雇用制さえ危険な幻想として終わろうとしている、しかも終身雇用制にせよ、そこにもたらされる自治的な職場コミュニティにせよ、知識社会の現実にはとうてい通用しない。知識社会においては、企業は生計の質を得る場所ではあっても、生活と人生を築く場所ではありえないからである」 ――『ネクスト・ソサエティ 歴史が見たことのない未来がはじまる』


 その解決策の1つとして、ドラッカーは次のように言っています。

 「ここにおいて、社会セクター、すなわち非政府であり非営利でもあるNPOだけが、今日必要とされている市民にとってのコミュニティ、特に先進社会の中核となりつつある高度の教育を受けた知識労働者にとってのコミュニティを創造することができる」


 「ここにおいて、社会セクター、すなわち非政府であり非営利でもあるNPOだけが、今日必要とされている市民にとってのコミュニティ、特に先進社会の中核となりつつある高度の教育を受けた知識労働者にとってのコミュニティを創造することができる」

 企業に所属していることで、毎月の給与を安定的に得ることはできます。しかし、仕事のやりがいや精神の安定となるコミュニティがない、もしくは作るのが難しいと感じる人もいるでしょう。

 このような場合は、ぜひ、社外にも目を向けてみてください。社外でのコミュニティは、「○○会社の△△さん」ではなく、「あなた」が評価されます。多くのコミュニティとの関わりによって、必要とされることのうれしさ、人の役に立つ喜びを実感できます。

 最初は無償の活動でも、「あなた」が評価されるようになれば、いずれやりたい仕事ができる機会を得られるかもしれません。

 私自身、あるコミュニティ活動の情報発信やシステム周りの手伝いをしています。無償の活動ですが、さまざまな機会でITスキルを結果として見せることで評価され、有償のプログラム開発の相談を受けたこともありました。

 「1つの企業だけにすべてを求めるのではなく、いろいろな活動の中でやりがいを見いだしていく」――これが、新しい働き方の形になるのかもしれません。


 「エンジニアの仕事が好き」「エンジニアであり続けたい」と思うのは素晴らしいことです。しかし、「エンジニアであり続ける」という選択は、「変化をしない」という拒絶になりがちです。

 さまざまな環境の変化は、新たな学びや出会いのチャンスだということを忘れないでください。「エンジニアであり続ける」という思いを抱きつつ、もし環境が変わりそうになったら、思い切って「変化を受け入れる」という選択をしてみてはいかがでしょうか。 変化の中で起きる、さまざまな学びや出会いがきっと、みなさんのエンジニアとしての幅を広げてくれるでしょう。

著者紹介

竹内義晴

特定非営利活動法人しごとのみらい理事長。ビジネスコーチ、人財育成コンサルタント。自動車メーカー勤務、ソフトウェア開発エンジニア、同管理職を経て、現職。エンジニア時代に仕事の過大なプレッシャーを受け、仕事や自分の在り方を模索し始める。管理職となり、自分がつらかった経験から「どうしたら、ワクワク働ける職場がつくれるのか?」と悩んだ末、コーチングや心理学を学ぶ。ちょっとした会話の工夫によって、周りの仲間が明るくなり、自分自身も変わっていくことを実感。その体験を基に、Webや新聞などで幅広い執筆活動を行っている。ITmedia オルタナティブ・ブログの「竹内義晴の、しごとのみらい」で、組織づくりやコミュニケーション、個人のライフワークについて執筆中。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』がある。Twitterのアカウントは「@takewave」。



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