運用工数を15分の1に削減! パナソニックISが実践するOracle Exadataとマルチテナントを活用した大規模DB統合のアプローチ:8システム/5人の運用体制が170システム/7人に(2/5 ページ)
パナソニックグループのIT中核会社として同グループのIT企画/運用を主導するパナソニック インフォメーションシステムズは、Oracle Exadataを利用してグループ内のデータベース環境を統合。さらにOracle Database 12cのマルチテナント機能を活用し、集約率と運用管理性の大幅向上を果たした。同社が採ったアプローチと効果を紹介する。[プライベートクラウド/データベース統合][Engineered System][Oracle Mutitenant]
Oracle Exadataを効率よく使うために定めたルールとは?
パナソニックISが定めた2つ目の方針は「アクセス制限によるデータ保護」であり、ユーザーの権限に応じてデータベースへのアクセスを細かく制御するというものだ。これを実現するために、パナソニックISは接続先のデータベースを制限する仕組みを独自に実装している。
3つ目の方針として掲げられたのは、「データベースノードの完全分離」である。片岡氏はこの方針の採用理由を「Oracle Exadataを効率良く使うため」だと説明する。
「統合前のデータベースサーバは、それぞれのアプリケーション担当部門が独自に構築していました。つまり、自分達の手元にあるため、データベースサーバを好きなように使えたわけです。このため、データベースだけではなく、アプリケーションやバッチまで組み込んで使用しているケースもありましたが、統合後はOracle Exadataを効率良く使う目的から、データベース以外の機能は全てOracle Exadataの外で実行することに決めました」(片岡氏)
4つ目の方針は「マシンパワーに頼ったアプリケーション設計の禁止」だ。これもOracle Exadataのリソースを効率的に使うためのルールだと言えよう。これについては、あらかじめ極端にリソースを絞った環境でテストを実施し、そこでパフォーマンスを出せないアプリケーションは本番環境での利用を禁止するといったルールで対応している。
なお、データベースを集約すれば、ハードウェア障害の発生時やメンテナンス時に多くのシステムが影響を受けることになる。そこで5つ目の方針として定めたのが、「ダウンタイムの最小化」である。具体的には、本番環境とは別のスタンバイデータベースを「Oracle Data Guard」によって同期し、障害/メンテナンス時にはスタンバイ機に切り替えることでダウンタイムを短縮している。
Oracle Exadataへの統合により、わずか15分で新規データベース環境の提供が可能に
このような方針の下に進められたパナソニックISのデータベース統合だが、そのステップは大きく3つに分けられる。第1ステップではスキーマ統合によってOracle Exadata X2-2上にデータベースを集約し、第2ステップではERPパッケージ「Oracle E-Business Suite」をOracle Exadataに移行したうえで、新たにOracle Exadata X3-2を追加してマルチラック化を果たした。そして第3ステップでは、Oracle Database 12cの新機能であるマルチテナントを利用して、集約率や運用管理性のさらなる向上を図るといった具合である。
このうち、第1ステップではOracle Databaseに備わるパーティショニング機能(Oracle Partitioning)を積極的に利用したほか、Oracle Exadataで利用可能なデータベース圧縮機能「Exadata Hybrid Columnar Compression(EHCC)」を活用している。「この機能により、ストレージコストを節約できたほか、ディスクI/O処理の効率化も図れました」と片岡氏はEHCCを高く評価する。
また、第1ステップの統合を経た後、データベース運用は全て専任のデータベース管理者(DBA)が担当することとなり、新たなデータベースをわずか15分で提供できるようになった。片岡氏は、「従来はデータベースサーバを構築する際、ハードウェアの調達や環境構築、初期設定などで1〜2カ月かかっていましたが、統合基盤を構築することにより、最短15分で提供できるようになったことは非常に大きなメリットです。また、DBAが専任となったことで、データベースの運用も安定しました」と話す。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年9月9日