鳥取編:ITエンジニアの皆さん、鳥取を救ってください:ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(27)(1/3 ページ)
高齢化が進み後継者不足に悩む鳥取の中小企業は、ITを導入して業務を効率化したくても、開発プロジェクトに取り組める人も時間も不足している。ならば――U&Iターンの理想と現実:鳥取編の最終回は、町工場を営むトライアスリートからITエンジニアへの「提案」で締めくくります。
こんにちは、「ミノハラ製作所」の蓑原です。「U&Iターンの理想と現実:鳥取編」、第1回は鳥取県の暮らし、第2回は鳥取県の企業風土や鳥取県人の働き方を紹介しました。
今回は、田舎の経営者が日々感じること、中小企業庁のデータから読み取る鳥取県の問題点を紹介し、ITエンジニアの皆さんへの「田舎での働き方」を提案します。
とても深刻な「鳥取県の事業継承問題」
前回、鳥取県の企業は、団塊世代の創業社長と経理の奥さん、息子世代が専務という企業が多いことを書きました。
「息子世代」がいればまだいいのですが、いない会社も多くあります。息子世代が都会に出て帰って来ない家もたくさんあります。このように、後継者がいないために創業者の代で廃業する企業が、鳥取では後を絶ちません。
鳥取県の後継者問題はかなり深刻で、後継者不在率は、都道府県別で5番目に高い73.2%、社長の年齢が60歳代以上の会社が311社もあるそうです。
鳥取県はその対策として、「鳥取県事業引継ぎ支援センター」で「後継者人材バンク事業」を行っています。後継者人材バンク事業は、人材バンクに登録した「創業を目指す起業家」と「後継者不在の事業主」の紹介や引き合わせなどの支援を行います。
しかし、後継者育成はそう簡単ではありません。
モノづくりに関する技術、例えば機械や電気などの「目に見える」技術は、自治体が講習を行っています。しかし、「経営」や「マネジメント」に関する理論を学ぶ場所は、鳥取には皆無と言っていいくらいありません。
また、社員と創業者が「経営の話」をする機会はなかなかありませんので、「社員の中から経営層を抜てきする」というケースはあまり見かけません。結果として「息子や娘が後継者となるべく帰ってくるのを待つしかない」という企業が多いのでしょう。
しかし、息子や娘が帰ってきてさえくれれば、問題が解決するわけではありません。息子や娘に経営の知識や経験があるとは限りませんし、家業のビジネスについて知識がなく、イチから勉強しなければならないかもしれません。
すると、息子世代が経営者として独り立ちできるようになるのは、何年も先になります。私がそうだったように。
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