愛媛編:中予においでんか、南予にきさいや――地方との相性問題を考える:ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(29)(2/4 ページ)
工業の東予、観光の中予、自然の南予――愛媛県は地方ごとに特徴や魅力がある。では、言語やパーソナリティー、移住しやすさなどにも違いがあるのだろうか。
中予地方、松山市の「産業」〜アート、教育、研究の拠点〜
東予地方がモノ寄りでメカニックなイメージであるのに対し、中予地方は、教育、文化、観光、商業といった“ヒト”寄りだ。いろいろな産業があるので、移住後の仕事の幅が広がるに違いない。
1つ目の仕事は「クリエーター」。
松山市は、文化的なコンテンツの発信地だ。夏目漱石や正岡子規にちなんだイベントがしばしば開催される。2017年は、俳句イベント「俳都松山宣言2017」が行われる。道後温泉では、アートの祭典「道後オンセナート」が開催され、数十人のアーティストが作品を展示するという。
VRなどの最新技術を生かせる資産が無尽蔵にあるので、「アート×IT」の可能性があるといえよう。
2つ目は「研究開発」である。
愛媛大学には、工学部、理学部、医学部、農学部があり、理系のイベントがしばしば開催されている。研究者の仕事に触れ、実務者とは異なる視点を知ることは、学術都市ならではのメリットだ。研究開発型のエンジニアなら、開発テーマには事欠かないだろう。
3つ目は「企業への就職」だ。一般企業の技術部門で働けば、異なる分野の知識と経験を得られる。
愛媛県は、UIJターン(※)の推進事業に取り組んでおり、県外学生のUターン就職促進事業「保護者のための就活セミナー」やUターン就職希望学生と若手社会人との交流会「マツヤマカフェ」などを開催している。
中予地方、松山市の「暮らし」〜充実、安定の生活基盤〜
松山市には、愛媛県唯一の空港がある。定期的に上京したい向きには大きな評価ポイントだろう。松山―東京間のフライトは1時間半で、日帰りが可能だ。
中心部には、幼稚園、公立小中高、大学、大学院までの教育機関が、徒歩圏内にまとまっている。複数の基幹病院があり、AEDもそこかしこに設置されている。子ども、子育て支援新制度が進んでおり、郊外にも施設がある。家族連れも安心して移住できるだろう。
特筆すべきは、生活コスパの良さだ。物価が日本一安いという説もある松山市。食品は県内の美味がそろい、ネットスーパーも便利だ。
賃貸物件の家賃も安い。学生向け物件の多いことが、その一因だろう。単身者の移住には最適だ。市中心部には、レンタルのソーシャルオフィスもでき始めている。スタートアップ移住も考えられるだろう。
松山市は、安定した生活基盤でITエンジニアの仕事を支えてくれる。都会での競争に疲れたら、ぜひ松山へ。
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