35歳からのキャリア――中堅世代こそ「Will、Can、Must」を考えよう:仕事が「つまんない」ままでいいの?(90)(2/4 ページ)
あなたが中堅世代なら、将来のキャリアに不安になることがありませんか? そんなときは、Will、Can、Mustで整理すると、これからの方向性が見えてくるかもしれません。
35歳前後になるとバランスが崩れて不安になる
しかし、35歳前後になると、会社から求められるMustが変わってきます。本音では「技術的な仕事が好き」「ずっと現場に関わっていたい」と思っているのに、周囲から期待されるのは「お金の管理」「後輩の育成」「開発の標準化」「チームビルディング」など管理の仕事が増え始めます。技術的な仕事が好きな人は、「Will、Can、Mustのバランスが崩れてきた」と感じるかもしれません。
これは、私が32歳ぐらいのときのベン図です。気持ち的には、「生涯エンジニアでいたい」のに、求められるのはマネジメントの仕事です。けれども、その経験がなく、どうしたらいいのか分からず、不安です。また、やりたいのは技術的な仕事なので、Will、Can、Mustのバランスが崩れて「このままでいいのかな?」と思っていました。
もしあなたが35歳前後なら、このようなベン図の人も多いのではないでしょうか。現場と管理職の間で揺れる……みたいな。
ここからは超個人的な話ですが、技術的な仕事が好きで、マネジメント経験がなく、人をまとめる管理職などやりたくなかった私は、30代前半の、Will、Can、Mustのバランスが良かったときを目指して転職しました。
しかし、転職は大失敗。人間関係やストレスが多い環境で働くことになりました。やりたいことはあるけれど、求められるのは全く違うことだし、エンジニアとしてのスキルは評価されないしで、テンションがダダ下がり。一気にやる気を失ってしまいました。そのときのベン図はこんな感じ。
このあと「こんな状態のままで働くのはイヤだ」と思って、管理職の仕事に取り組みました。なぜなら、人間関係が悪い職場だったため、他の若いメンバーも縮こまっていて、「こんなのおかしい!」「何とかしたい!」と思ったからです。
いろいろと勉強した結果、「働きやすい職場をつくるためには、どうやらコミュニケーションを勉強しないといけないらしい」ということに気が付いて、心理学やコミュニケーションを勉強しました。つまり、管理職としての「できること」を増やしたわけですね。
その結果、同僚や顧客との関係が改善し、「人の成長を支援する仕事も面白いじゃないか」と感じるようになり、それが、次のやりたいこと(つまり、現在の人材育成の仕事)へと変わっていきました。
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