Novell SUSE LINUX Enterprise Server 9
Red Hat Linux/Enterprise Linuxがデファクトスタンダードになっている日本市場において、それらと十分に競合できる完成度と資本力を持ったディストリビューションが登場した。カーネル2.6採用のエンタープライズOS「Novell SUSE LINUX Enterprise Server 9」は、期待を裏切らないOSに仕上がっている。 |
2004/9/14 |
SLES 9の位置付けと開発体制
カーネル2.6を本格採用した最初のエンタープライズLinuxとして、Novell SUSE LINUX Enterprise Server 9(以下SLES 9)が発売された。導入実績欧州第1位、世界第2位といわれるSLES 9の実力は前評判どおりなのだろうか? @ITでは、SUSE LINUX Professional 9.1(以下Pro 9.1)のレビューも公開している。そちらも併せてご覧いただきたい。
■SLES 9とPro 9.1の位置付け
ほぼ同時期にリリースされたSLES 9とPro 9.1だが、両者の位置付けはまったく異なる(表1)。
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Pro 9.1は、ACPIやUSBストレージ/CD/DVDの自動マウントなど、クライアントOSとしての利便性を優先している(注)。
注:Proのパッケージングには、開発者の意見が多く反映されている。またSUSE LINUXのFTPサイト(ftp://ftp.suse.com/pub/people/)には、開発者それぞれの趣向でビルドしたパッケージが置かれている。特にMike Fabian氏のディレクトリ「mfabian」には、SCIMをはじめ、中日韓(CJK)環境をサポートする最新パッケージが置かれている。 |
それに対して、SLES 9は安定性や堅牢性、スケーラビリティが重要視されている。SLES 9がターゲットにしているのは、キャリアグレードの運用が必要とされる勘定系や基幹系、データセンターといった分野なのである。こうした分野は、まさにRed Hat Linux ES/ASと競合する。
画面1 SLES 9のデスクトップ。rootでログインすると、危険度を示すため通常とは異なる壁紙になる(画像をクリックすると拡大表示します) |
■マルチプラットフォーム対応と品質維持管理システム
表1で示したように、SLES 9は多くのプラットフォームに対応している。これだけ多くのプラットフォームに対応しながら、同時期にパッケージを提供できるのは、SUSE LINUX独自のAutoBuildシステムによるところが大きい。
複数のプラットフォームに対応させる場合、通常はその品質維持に多大なコストが費やされる。また、アップデートの遅れやプラットフォームごとのサポートのムラが懸念される。AutoBuildは、単一のソースコードからすべてのプラットフォーム用のバイナリをビルドできる。アーキテクチャやプラットフォームごとにソースコードを用意する必要がないため、セキュリティパッチなど、即時性が要求される場合にも効率的に対応できるのである。
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