Novell SUSE LINUX Enterprise Server 9
SLES 9のそのほかの特徴
■サーバ用途に合わせたパッケージング
バージョン |
SLES 9には、エンタープライズ用途に合わせたソフトウェアが収録されている。その1つがオープンソースのアプリケーションサーバ「JBoss」(製品紹介:JBoss 3)である。JBossの使用にはJava Runtimeが必要だが、SLES 9にはIBM、BEA、Sunの3種類から選択できる。
また、HAクラスタ用にheartbeat(DB2マイスター養成講座 第5回)が収録されており、YaSTを使って2ノードのアクティブ−スタンバイ構成のクラスタを簡単に設定できる。ほかにも、Linux上で仮想的なLinuxを動かすことができるUML(User Mode Linux)(仮想OS「User Mode Linux」活用法)を収録するなど、パッケージングにおいてもSUSE LINUXの意気込みが感じられる。
なお、JBossやheartbeatなどは追加インストールする必要がある。ただし、YaSTを使用すれば、指定されたインストールディスクをドライブにセットするだけであり、依存関係も自動で解決してインストールしてくれる。こうした作業はそれほどの手間を必要としない。
■SUSE LINUXのディレクトリ構造
Pro 9.1のプロダクトレビューでも触れられているように、SUSE LINUXはRed Hat Linuxとディレクトリ構造が若干異なる。これは、SUSE LINUXとRed Hat Linuxそれぞれが採用しているFHS(File System Hierarchy Standard)のバージョンの違いによるものだ。SUSE LINUXは、はいち早くFHS 2.3に対応している。
FHS 2.3で新しく設けられた主なディレクトリは以下のとおり。
/media | リムーバブルメディアのマウントポイントとして利用 | |
/srv | wwwやftpなど、サーバが提供するサービスのためのデータディレクトリ | |
/lib64 | 64bitライブラリを格納(32bit環境では存在しない) |
USBストレージやCD、DVDメディアは/media下にマウントされるため、いままで/mnt/cdromなどを使用していた場合は多少の違和感がある。また、/var/wwwに置いていたApacheのドキュメントデータやCGIファイルも/srv/wwwへ収めることになる。
初めはこうした差異に多少戸惑うが、今後ほかのディストリビューションでもFHS 2.3が採用されていくと予想される。
前評判どおりの完成度
以上、簡単にSLES 9の特徴を紹介してきた。前評判どおり、強力なエンタープライズOSとなっている。
ただし、死角がないわけではない。SLES 9には、Pro 9.1と同様に膨大な量のドキュメントがPDFで付属しているが、オンライン情報となると、やはり日本語のものは少ない。一方、TurbolinuxやMIRACLE LINUX、Red Hat Linuxは日本語によるサポートサイトが充実しており、ユーザーサイトも無数に見つかる。日本市場においては後発となるだけに、この辺りをどうばん回していくかがSUSE LINUX普及のカギになるだろう。
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