Linuxで動く便利ツール
複数の仮想環境を利用できる
「VMKnoppix」
北浦 訓行
2008/6/26
仮想環境の実行(2)
■BitVisor
BitVisor(http://www.securevm.org/bitvisor.html)は、筑波大学を中心した「セキュアVMプロジェクト」で開発中の仮想マシンモニタで、動作させるにはIntel VTをサポートしたCPUが必要です。BitVisor 0.2にはセキュリティ機能は実装されていません。
VMKnoppixでBitVisorを使用する場合、GRUBのメニューで[BitVisor]を選択します。すると、BitVisorが読み込まれて、再びGRUBのメニューが表示されます。ここで、[KNOPPIX 5.3.1(normal kernel)]を選択すると、BitVisor上でKNOPPIXが起動します。
現時点では、BitVisorは、XenやKVMのようにホストOS上に仮想マシンのウィンドウが開いて、ゲストOSの画面がそこに表示されるわけではありません。見た目は、PCでKNOPPIXを起動した場合と同じです。
■VirtualBox
VirtualBox(http://www.virtualbox.org/)は、ドイツのInnoTek社が開発したオープンソースの仮想マシンソフトウェアです。InnoTek社は2008年に米サン・マイクロシステムズに買収されたため、VirtualBoxは現在サン・マイクロシステムズからリリースされています。
VirtualBoxでは、VMware Workstationと同様に、仮想マシンの作成から実行までをGUIで行うことができます。VMKnoppixでVirtualBoxを起動するには、GRUBのメニューで[KNOPPIX 5.3.1(normal kernel)]を選択します。KNOPPIXのデスクトップが表示されたら、rootシェルを起動します(Kメニューの[KNOPPIX]→[Root Shell]を選択)。そして、vboxdrvというモジュールを読み込んで、virtualboxコマンドを実行します。
# modprobe vboxdrv |
すると、VirtualBoxのウィンドウが表示されます。
画面6 VirtualBoxのウィンドウ |
まずは、ウィンドウ左上にある[New]ボタンをクリックして、ゲストOSをインストールするための仮想マシンを作成します。ウィザード形式の問いに答えていくと、仮想マシンが作成されます。
今回は、Fedora 9用の仮想マシンを作成して、Fedora 9のLive CDを起動してみました。ところが、デフォルトのランレベル5ではログイン画面が表示されないという問題が発生しました。そこで、ランレベル3で起動してstartxコマンドを実行したところ、X Window Systemを起動することができました。
画面7 VirualBoxで起動したFedora 9 |
なお、VirtualBoxでは、ゲストOS(仮想マシン上で動作するOS)に入力する場合は仮想マシンのウィンドウをクリックします。ホストOS(実機で動作するVMKnoppix)に入力する場合は、右の[Ctrl]キーを押します。
■User-mode Linux
User-mode Linux(UML)は、Linux上に「Linuxの仮想マシン」を作成する仕組みです。ほかの仮想環境とは違ってLinuxしか動作しませんが、ホストOSのカーネルにモジュールを追加するなどの作業が必要なく、簡単に動作を試すことができます。
VMKnoppixでUMLを使用する場合、GRUBのメニューで[KNOPPIX 5.3.1(normal kernel)]を選択します。KNOPPIXのデスクトップが表示されたら、rootシェルを起動して(Kメニューの[KNOPPIX]→[Root Shell]を選択)、umlknx.shというシェルスクリプトを実行します。
# umlknx.sh |
すると、もう1つのKNOPPIXが起動します。
画面8 User-mode Linuxで起動したKNOPPIX |
以上が、VMKnoppixで動作する主な仮想環境の起動方法です。ここで紹介した機能以外にも、InetBootやgPXE、TPM(Trusted Platform Module)のソフトエミュレートなど、さまざまな機能をサポートしていますので、ぜひ試してみてください。
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