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リレーショナルデータベース・カタログ


山田祥寛(http://www.wings.msn.to/
2004/6/15

 高い管理性とグリッド・コンピューティング
 Oracle Database 10g

 
製品名: Oracle Database 10g
URL: http://www.oracle.co.jp/database/
価格 9万7650円(Standard Edition One、
5Named User Plusライセンスで税込みの場合)
対象OS: Red Hat Enterprise Linux AS/ES 2.1/3、MIRACLE LINUX Standard Edition V2.1、SUSE LINUX Enterprise Server 8 SP3以降

製品概要

 オラクルが統合的な企業インフラを築くために提唱した「グリッド・コンピューティング」と、これを実現する製品群「Oracle 10g」。Oracle Database 10gは、このOracle 10gを構成する製品の1つである。

 Oracle 10gの「g」が「グリッドのg」であることはご存じだろう。「グリッド・コンピューティング」の目的は、ネットワーク上に散在するサーバやストレージなどの資源をあたかも1つのコンピュータのように統合し、必要に応じてリソースを動的に振り分けることで、システム効率を最大限に引き出すことにある。しかし一方で、グリッド・コンピューティングの難しいところは、アプリケーション管理が煩雑になりがちで、システム管理者の管理負荷が増大する点にある。そもそもグリッド構成を実現するためのイニシャルコストが大きい点も、グリッドの効果を理解しながら、各社がこれまで導入できずにいた理由である。これらの問題を解決するために登場したのが、Oracle 10gだ。

 Oracle 10gは「Oracle Database 10g 」「Oracle Application Server 10g」「Oracle Enterprise Manager 10g」など、一連のサーバ製品の総称であり、これらが総合的にデータベース、アプリケーション、ストレージ各レイヤの管理を自動化し、最適な構成を実現する。Oracle Database 10g(以下Oracle DB)は、Oracleソリューションの重要な、しかしごく一部にすぎないのだ。

注目ポイント

管理コストを削減

 Oracle DBは、管理コストを抑制するために「データベース自身」が自動パフォーマンスチューニングを行い、設定・調整を行うのが特徴だ。インデックスやメモリなどのチューニングはもちろん、バックアップ/リカバリ、セグメント収縮、デフラグなどの作業を適宜必要に応じて実行する。

 前述のOracle Enterprise Manager 10gは、データベース本体のオートノミック(自律型)な制御を支える管理コンソールととらえるべきであろう。例えば、Enterprise Managerを利用することで、「物理的にメモリが不足している」など、Oracle DBでは自動的に解決できない障害の通知を受信できる()。

注:障害の通知は、Oracle DBに搭載されているServer Generated Alertsというコンポーネントが行う。

 Server Generated Alertsは単なる問題の通知だけではなく、あらかじめ設定された閾値に基づいて、問題の対処方法も示唆してくれる。データベース管理者は、Server Generated Alertsが示した方法に基づいて、Enterprise Manager上から適切な措置を取ることができる。

簡易な導入、初級管理者にもやさしい構成

 「Oracle 10g=グリッド・コンピューティング」という図式が定着しているせいか、小規模システムには不向きで、しかも難しいと思われることも少なくない。しかし、Oracle 10gのインストールは簡単だ。インストール対象のシステムに対する依存チェックが追加されており、必要な前提条件をほとんど意識せずに済む手軽さによるところも大きいだろう。

 すでにOracle DBを利用しているユーザー、あるいは他データベースを利用しているユーザーにとっては、マイグレーションも興味(あるいは懸念)のポイントだろう。特に、Oracle DBが従来型のデータベースとはまったく異なるパラダイムをベースにしているとなればなおさらだ。これに対してOracle DBは、旧バージョンからの移行用に「Oracle Upgrade Assistant」を、他データベースからの移行用に「同Migration Workbench」を提供している。リソースの事前確保や予想され得る障害の特定など、移行に際しての作業の大部分を自動化している。

画面 Oracle Upgrade Assistant(画像をクリックすると拡大表示します)

 データベース導入後の管理・操作性という観点では、Oracle Enterprise Managerが多プラットフォーム環境で統一した操作感を提供しており、異なる環境でもほぼ同様の感覚で作業できるのがうれしい。これは、実際の開発・運用現場において大きなメリットになるだろう。

 Oracle DBの特徴をまとめると、「グリッド・コンピューティング」もさることながら、よりデータベース管理者に優しい(易しい)管理性にあるといえる。小規模システムに対してはオーバースペックあるいは高価という感はあるものの、操作性や管理性をかんがみれば、小規模システムへの採用も十分に検討の価値がある製品だろう。「グリッド」にとどまらない、より広範な分野への浸透を続けるOracle 10gの世界に、今後も期待したい。

 
関連記事:
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Index
Linuxで動くリレーショナルデータベース・カタログ
  リレーショナルデータベースの動向
Oracle Database 10g
  DB2 Universal Database V8.1
  InterBase 7.1
  PostgreSQL 7.4.2
  PowerGres Plus Ver 1.1
  MySQL 4.0.20
  SQLite 2.8.13
  リレーショナルデータベース選択のポイント

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