リレーショナルデータベース・カタログ
山田祥寛(http://www.wings.msn.to/)
2004/6/15
エンタープライズ用途に進化した商用ポスグレ PowerGres Plus Ver 1.1 |
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■製品概要
PostgreSQLを24時間365日稼働のシステムで利用するには、以下の問題点がある。
- 追記型の領域管理を採用しているため、頻繁なデータ更新によってデータベースのサイズが肥大化しやすい
- PITR機能を持たないため、障害時に過去の任意の時点までの復帰ができない
こうした問題により、PostgreSQLの採用をためらってきたという方は多いのではないだろうか。また、導入に踏み切ったが、これらの問題を補うために独自の拡張を強いられた方もいるはずだ。
PowerGres Plusは、これらの問題に対して独自のソリューションを追加した製品となっている。以下に、その主要な強化ポイントを挙げていこう。
なお、商用PostgreSQLとして「PowerGres on Linux」という製品があるが、これはPowerGres Plusとはまったく異なる製品である。PowerGres on LinuxはPostgreSQLにサポートサービスを追加した製品で、中身はPostgresSQLそのものである。PowerGres Plusは、ストレージ管理の部分を「Extended Storage Manager for PostgreSQL」(富士通)にリプレイスすることで、大型サーバでの稼働にも耐え得る製品に仕上がっている。
■注目ポイント
●PostgreSQLに完全互換
PostgreSQLは、大きく分けてSQL命令を解析・実行する「SQLプロセッサ」と、データの運用・管理を担う「ストレージマネージャ」で構成されている。
PowerGres Plusは、ストレージマネージャを置き換えることで、オリジナルPostgreSQLのSQL構文やインターフェイス仕様はそのままに、データ管理機能だけを向上することに成功している。
図 PostgreSQLとPowerGres Plusの構造 |
つまり、PostgreSQLでシステムをスモールスタートさせ、将来的にデータベース機能を強化したいという場合も、PowerGres Plusへの移行ならばデータベース自体はもちろん、アプリケーションコードにも何ら影響を与えることはない。
●Extended Storage Manager for PostgreSQLの3つの特色
Extended Storage Manager for PostgreSQLには、主に3つの特徴がある。
- アーカイブログを用いることで、障害発生時に最新時点でのデータ復旧が可能
- トランザクション単位の領域管理によって、vacuumレスのデータ管理が可能
- マルチプロセス/マルチスレッドによる高速コピーの採用によって、安定したデータローディングが可能になった
以上、エンターライズ版PostgreSQLともいえるPowerGres Plusについて見てきた。PowerGres SQLの強みは、それ単体としての高機能性もさることながら、オープンソースであるPostgreSQLとの連携にあるといってよい。繰り返しではあるが、オープンソースならではの手軽さでスモールスタートさせたシステムを、実運用システムに移行するという流れが、PostgreSQLとPowerGres Plusの組み合わせによって現実のものになるのだ。定番の商用データベースサーバであるOracleやDB2に、新規参入者であるPowerGres Plusがどのように切り込んでいくのか、今後の伸張に期待したい。
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