Linuxで動く
リレーショナルデータベース・カタログ


山田祥寛(http://www.wings.msn.to/
2004/6/15

 自律型コンピューティングを実装した次世代RDBMS
 DB2 Universal Database V8.1

 
製品名: DB2 Universal Database V8.1
URL: http://www.ibm.com/jp/software/data/db2/linux/
価格 http://www.ibm.com/jp/software/ecatalog/contactus/ (見積もり)
対象OS: Red Hat Enterprise Linux AS 2.1、Red Hat Linux 7.2/7.3/8.0、SUSE LINUX Enterprise Server 7/8/SUSE LINUX 7.3/8 Pro/8.1 Pro、Turbolinux Enterprise Server 7.0/8.0

製品概要

コラム DB2 Stinger
2004年秋ごろ、次バージョン「DB2 UDB V8.2」(開発コードネーム「Stinger」)が登場する予定だ。

Stingerは、カーネル2.6や64bit zLinuxをサポートするほか、自律型チューニング機能、Informixの技術を取り込んだHADR(High Availability Disaster Recovery)によるクラスタリング機能が追加される。

Stingerについては、以下のページも参照。

http://www.ibm.com/jp/software/data/db2/stinger/

 DB2 Universal Database(以下DB2)は、IBMの主力データベース製品である。DB2の方向性を一言で表すならば、「SMART(Self-Management and Resource Tuning)機能に基づくオートノミック(自律型)・コンピューティング」へのアプローチだ。オートノミックは同社が古くから掲げてきたキーワードの1つであるが、その眼目は、ますます複雑化するデータベースの運用・管理において、データベース管理者の負荷をいかに軽減できるかにある。オープンソース・データベースが機能的にも充実してきている昨今、商用製品とオープンソース・ソフトウェアの差異は、管理性、運用・開発ツールにあるといえるだろう。

 また、それによって実現するエンタープライズ・ソリューションへの統合力が、商用データベース採用の意義の1つでもある。その意味で、DB2はそれ単体としてではなく、「IBM DB2 Information Integrator」(http://www-6.ibm.com/jp/software/data/ii/)と呼ばれる情報資源統合のためのソリューション製品(ミドルウェア群)の一角ととらえるのが妥当だろう。オートノミック・コンピューティングとは、煩雑なデータ管理を容易なものとし、情報資源統合への現実的な道筋を示す、重要なアプローチなのである。

注目ポイント

SMART機能の魅力を引き出す管理ツール

 DB2は、データベース管理者の負荷を軽減するために豊富なGUIツールを提供している。その中核となるのが、コントロールセンターとヘルス・センター(バージョン8から提供)だ。

 コントロールセンターはその名のとおり、DB2データベースを一元的に管理するツールだ。テーブル、ビュー、スキーマ、インデックス、ユーザーなど、主要なデータベースオブジェクトを一元的に管理できるのはもちろん、定期的にジョブを自動実行することも可能。構成アドバイザや設計アドバイザなどのツールと併用することで、データベース性能にかかわるパラメータや実行効率化のためのインデックス構成などを最適化できる。

 ヘルス・センターは、DB2の状態(運用状況)を監視し、潜在的な問題を事前にデータベース管理者に通知するツールだ。例えば、使用メモリが過多になった場合などに電子メールなどでアラート通知を行う。のみならず、オートノミック機能に基づいて、自発的な修正・調整を行ったり、管理者に対処方法をアドバイスする。通知を受けた管理者は、アラーム通知に基づいてヘルス・センターで問題を特定し、関連する管理ツールを用いて対応できる。

画面 Windowsから参照したヘルスセンター(画像をクリックすると拡大表示します)

 これらはOracle Database 10gでも同等の機能を提供しているが、筆者の個人的な感想ではDB2の方が操作方法はより直感的で分かりやすく、こなれているという印象を受けた。

DB2 Extenderで可能となる情報資産の統合

 DB2は、「DB2 Extender」と呼ばれる拡張機能を追加することで、2次元表以外のさまざまなオブジェクトをデータベースに格納できる。これまでRDBMSでは管理できなかった(管理が難しかった)諸データが、DB2では容易に管理可能となるのだ。画像やXMLデータ、散文的なオフィスドキュメントなど、さまざまな情報資産を統合するために、開発者がアプリケーションレベルで試行錯誤する必要はもはやない。

 DB2 Extenderは、以下のような製品群から構成される。

製品名
概要
Audio Extender WAVE、MIDI、MPEGなどの音声データ型・関数を提供
Image Extender GIF、JPEG、TIFFなどの画像データ型・関数を提供
Net Search Extender* インメモリ・データベースによる全文テキスト検索機能を提供
Spacial Extender 2点間の距離や住所などの地理情報を検索する機能を提供
XML Extender* XML文書を専用のデータ型あるいはノード分解したうえで格納するための機能を提供。また、スキーマ検証、XSLT変換などを可能にする
表 DB2 Extenderに属する主要な製品群(「*」はバージョン8.0から追加)

 以上、DB2の主な特徴を見てきた。同じ商用データベースということで、Oracle Database 10gと比較されることの多いDB2であるが、「グリッド・コンピューティング」(Oracle)、「オートノミック・コンピューティング」(DB2)と、前面に掲げるキーワードは違えども、その根底にはよりデータベース管理者にやさしい管理機能が強く意識されていることが分かるだろう。

 
関連記事:
DB2マイスター養成講座
Kylix 3とDB2で作るWebサービス・アプリケーション
XMLデータベース製品カタログ 2003〜XML対応リレーショナルデータベース編〜
DB2でXMLを操作する

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Index
Linuxで動くリレーショナルデータベース・カタログ
  リレーショナルデータベースの動向
  Oracle Database 10g
DB2 Universal Database V8.1
  InterBase 7.1
  PostgreSQL 7.4.2
  PowerGres Plus Ver 1.1
  MySQL 4.0.20
  SQLite 2.8.13
  リレーショナルデータベース選択のポイント

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