USAGIによるカーネルのIPv6対応Linuxで作るIPv6ネットワーク環境(1)(3/3 ページ)

» 2002年10月19日 00時00分 公開
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ユーザーランドアプリケーションの作成

 次はユーザーランドアプリケーションの作成です。カーネルの作成と比較して、それほど面倒ではありません。

 USAGIを展開したディレクトリに移動後、

$ cd usagi/usagi
$ ./configure
$ make
$ su
# make install

と実行することで、/usr/local/v6ディレクトリ下にコマンド類がインストールされます。

 また、USAGI対応アプリケーションを開発するなどの状況が存在するのであれば、以下のようにしてヘッダファイルをインストールします。

■元のヘッダファイルの保存

 /usr/include下のファイルを保存します。スーパーユーザー権限が必要になります。

# cd /usr
# tar cvzf include.orig.tar.gz include

■USAGIのヘッダファイルインストール

 USAGIを展開したディレクトリに移動後、

# cd usagi/usagi
# make install-includes

とします。当然のごとく、スーパーユーザー権限が必要になります。

動作確認(可能な場合)

 ここまでくれば、もう動作可能な状況になっています。USAGIが組み込まれているか否か? という点については、新しいカーネルでリブートしたときのメッセージをチェックすることで確認可能です。しかし、実際に動作しているか否か? ということを確認するには、動作確認されているIPv6対応のマシンが必要になります。

 以下に示すようなネットワークを例()に、FreeBSDマシンに対するping6の結果を確認してみましょう。

 

ホスト IPアドレス インターフェイス
Linux(USAGI) fe80::2a0:24ff:fe56:9789 eth0
FreeBSD(KAME) fe80::220:afff:fed2:108 vx0

注:筆者の環境にはKAMEをインストールしたFreeBSDがあったので、これを使ってUSAGIの動作確認を行いました。


$ /usr/local/v6/bin/ping6 fe80::220:afff:fed2:108%eth0
PING fe80::220:afff:fed2:108%eth0(fe80::220:afff:fed2:108%eth0) from fe80::2a0:24ff:fe56:9789%eth0 : 56 data bytes
64 bytes from fe80::220:afff:fed2:108%eth0: icmp_seq=1  ttl=64 time=0.415 ms
64 bytes from fe80::220:afff:fed2:108%eth0: icmp_seq=2  ttl=64 time=0.415 ms
64 bytes from fe80::220:afff:fed2:108%eth0: icmp_seq=3  ttl=64 time=0.412 ms
64 bytes from fe80::220:afff:fed2:108%eth0: icmp_seq=4  ttl=64 time=0.386 ms
64 bytes from fe80::220:afff:fed2:108%eth0: icmp_seq=5  ttl=64 time=0.389 ms
64 bytes from fe80::220:afff:fed2:108%eth0: icmp_seq=6  ttl=64 time=0.416 ms
--- fe80::220:afff:fed2:108%eth0 ping statistics ---
6 packets transmitted, 6 received, 0% loss, time 4998ms
rtt min/avg/max/mdev = 0.386/0.405/0.416/0.023 ms

 動いていれば当然の結果ではありますが、ping6による疎通が確認できました。

 コマンドラインパラメータの意味ですが、Link Localアドレスを使用する場合には、どのインターフェイスに対してICMPパケットを送り出すか?

というのを明示してやる必要があります。アドレスの後ろに「%eth0」としたのは、明示的に「eth0に接続されたネットワークに対して」という意味を持たせたと思ってください。

コラム 通常版のカーネル設定でのIPv6

 ここまで、USAGIによるIPv6環境構築の方法を説明しましたが、普通に配布されている

LinuxカーネルでもIPv6関係の設定は可能です。ただし、以下のように、IPv6を有効にする/しない程度しか選べません。

通常版のカーネル設定でのIPv6

 標準のカーネルでもIPv6に対応していないことはないものの、自由度の低い接続形態しか選べないということです。


中編予告

 ここまでで、LinuxのIPv6化は終了しました。しかし、IPv6化されたマシンがいくらあっても、そのマシンの上でサービスが動作しないことには何の役にも立ちません。

 中編では、

  • 主要なインターネットサービスのIPv6化の例
  • IPv6特有のサービスの有効利用

という辺りについて述べさせていただきます。もうIPv6の世界はすぐそこまで来ていますよ。


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