実験 

中古PC活用講座パート2【RAID構築編】

8. ハードウェアRAIDの構築−−デバイス・ドライバをインストールする

澤谷琢磨 
2002/04/02

3.デバイス・ドライバのインストール

 Linuxのインストール中に、カーネルに含まれないデバイス・ドライバを導入するには、インストーラの起動画面で通常とは異なるオプションを選ぶ必要がある。画面「Red Hat Linux 7.2インストーラ起動画面」に、その手順を示す。

Red Hat Linux 7.2インストーラ起動画面
Red Hat Linux 7.2のインストールCD-ROMからPCを起動すると、まずセットアップ方式を選ぶ画面が表示される。
  デバイス・ドライバのフロッピーディスクがある場合は、「linux dd」オプション付きでインストーラを起動する

 「linux dd」オプション付きでRed Hat Linuxのインストーラを起動すると、通常のインストーラ画面が表示される前に、デバイス・ドライバの入ったフロッピーディスクの挿入が要求される(画面「Red Hat Linux 7.2インストーラ(デバイス・ドライバFDの挿入)」)。

Red Hat Linux 7.2インストーラ(デバイス・ドライバFDの挿入)
この画面が表示されたら、あらかじめ作成しておいたFastTrak TX2000のデバイス・ドライバを収めたフロッピーディスクを挿入する。
  フロッピーディスクを挿入して「Yes」ボタンを押す

 FastTrak TX2000の場合、インストールが終わり「おめでとうございます」画面が表示されたところで、もう1つ特殊な手順を踏む必要がある。この作業を行わずにインストーラを終了させると、次回起動時にデバイス・ドライバがロードされず、起動中にLinuxがハングアップしてしまうので注意が必要だ。

Red Hat Linux 7.2インストーラの「おめでとうございます」画面
FastTrak TX2000のドライバ・モジュールをインストールするには、Red Hat Linux 7.2のインストーラがインストールの終了を告げるこの画面で、Ctrl+F2キーを押して、コンソール画面に切り替える。
  ここで「終了」ボタンを押してはならない点に注意

 ここでCtrl+F2キーを押して、XFree86上で動作中のRed Hat Linux 7.2インストーラの画面から、コンソール画面へ切り替える。このコンソールから、先ほど作成したデバイス・ドライバが入ったフロッピーディスク中に含まれる、設定用のスクリプトを起動する。

# mkdir /mnt/floppy
# mount -t vfat /dev/fd0 /mnt/floppy
# cd /mnt/floppy
# ./setup-ft
FastTrak TX2000用ドライバ(ft.o)の導入
これはWindows上でフロッピーディスクを作成した場合。ファイルシステム・タイプとしてvfatを指定する。FastTrak TX2000用ドライバ・モジュールの導入は、先ほど作成したフロッピーディスク中に含まれる、setup-ftスクリプトを用いて行う。以上のコマンドは、setup-ftスクリプトを起動するまでの手順を示したものである。

 setup-ftスクリプトを起動すると、画面「setup-ftスクリプトの実行画面」に示すとおり、選択肢が3つ表示される。ここではRed Hat Linux 7.2を新規インストールしたので、選択肢の中から該当する2番目の項目を選んでインストールする。

FastTrak series Red Hat linux installation fix
Please keyin your selection:
(1).Upgrade your linux system to Red Hat 7.1
(2).Install a NEW system of Red Hat 7.2
(3).Upgrade your linux system to Red Hat 7.2
2
FastTrak driver setup for RH7.2 successful.
PROMISE Technology, Inc (C)2001.11.06"
setup-ftスクリプトの実行画面
ここではRed Hat Linux 7.2を新規インストールする方法を採用したので、setup-ftスクリプトの選択画面では、「(2).Install a NEW system of Red Hat 7.2」を選ぶ。

 ここまでで、FastTrak TX2000の導入作業は終了となる。Ctrl+F7キーを押すと、元のインストーラの画面に戻るので、ここで再起動を行う。後は通常どおりRed Hat Linux 7.2のインストールを行えばよい。パーティションの設定なども、この後のインストーラの指示に従って行うことになる。

構築したRAIDボリュームはOSからどのように見えるか

 ハードウェアRAIDの場合、構築したRAIDボリュームはOS側から見ると、RAIDボリュームなのか通常のハードディスクなのか、まったく区別できない状態になる。デバイスとしては、/dev/sda(1台目のSCSIハードディスク)として認識される。逆にいえば、RAID 1のステータスはOS側からモニタできないことになる。現時点では、Promise TechnologyからLinux用の管理ユーティリティ(Windows用のPromise Array Managementに相当するツール)は提供されていないので、RAIDの状態を確認できない点は注意が必要かもしれない。

Linuxから見たハードウェアRAID
FastTrak TX2000の先につながっているハードディスク自体の情報は、Linux側からは知ることができない。デバイス・ファイルとして認識されるのは、1台目のSCSIハードディスクを示す「sda?」のみとなる。

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 INDEX
  [実験]中古PC活用講座パート2【RAID構築編】
    1.Linuxのディストリビューションを選択する
    2.RAID構築の機材を揃える
    3.パーティション構成を検討する
    4.ソフトウェアRAIDの構築−−パーティションの構築
    5.ソフトウェアRAIDの構築−−RAIDボリュームの作成
    6.ソフトウェアRAIDの構築−−動作確認
    7.ハードウェアRAIDの構築−−デバイス・ドライバを準備する
  8.ハードウェアRAIDの構築−−デバイス・ドライバをインストールする
    9.RAIDの再構築を確認しておこう
    10.ソフトウェアRAIDの再構築の実際−−パーティションの構築
    11.ソフトウェアRAIDの再構築の実際−−デバイスごとの再構築
    12.ソフトウェアRAIDかハードウェアRAIDか
 
「PC Insiderの実験」


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