最終回
タグ情報をトレースするEPCISを稼働させよう
須永 啓太
イー・キャッシュ株式会社
プロフェッショナルサービス事業部
執行役員
宮田 高司
イー・キャッシュ株式会社
プロフェッショナルサービス事業部
2007年10月23日
まだすべての仕様が定まっていないEPCglobalネットワークシステムだが、フリーのミドルウェア「RDSC Framework」を使って、体験してみよう。EPCglobalが目指すモノが見えてくるだろう(編集部)
第3回では、RDSC Framework for Logisticsの各コンポーネント群の中でも、EPCglobalネットワークシステムでいう“RFID Middleware”の部分を担っているコンポーネントである「ALE Service」について説明しました。
今回は、EPCglobalネットワークシステムの核となる「EPCIS」をRDSC Framework for Logisticsでどのように扱えるのかを取り上げます。なお、今回使用するインストーラは、第2回でダウンロードした「rfl081.zip」に含まれています。まだ入手されていない方は、無償ダウンロードサイトからダウンロードしてください。
RDSC EPCISとは何か?
第2回で解説した「RDSC Adapter」は、EPCデータを受信し、そのデータをALE Serviceに送信します。ALE Serviceは、受信したデータを選別して、EPCISに送信します。今回紹介する「RDSC EPCIS」は、ALE Serviceから受信したデータを取り込み、アプリケーションの要求に応じた情報を提供する機能から成り立っています。
RDSC Framework for Logisticsは、.NET Frameworkの最新バージョンである.NET Framework 2.0をベースに作られており、Microsoft Visual Studio 2005での開発ができます。
またRDSC EPCISはEPCISの性質上、他システムとの連携が必須なため、マイクロソフトのアプリケーション統合ソフトウェアであるMicrosoft BizTalk Server 2006上で実装が行われています。
RDSC EPCISで使用するコンポーネントの動作環境は以下のとおりです。さらに、詳細な情報が必要な場合は、「RDSC Framework for Logisticsリリースノート」を参照してください。
コンポーネント名 | 動作保障OS | 必要なソフトウェア |
---|---|---|
ALE Service | Windows Server 2003(SP1) Windows XP Professional(SP1a、SP2) Windows 2000 Professional(SP4) |
Microsoft .Net Framework 2.0(最新パッチを適用したもの) Microsoft ASP.NET 2.0 IIS5.0、IIS5.1、IIS6.0(OSに対応したもの) Microsoft BizTalk Server 2006 |
【RDSC Framework for Logistics リリースノート】 http://www.rdsc.jp/middleware/note.html |
EPCISの構成要素と機能
EPCglobalでは、EPCISを「EPCglobalネットワーク上でモノに付与されたID(EPC)のトレースを可能とするためのサービスコンポーネント」と定義しています。
EPCglobalが標準化を進めているEPCglobalネットワークは、皆さんが日常的に利用されているインターネット(World Wide Web)と非常によく似た構成から成り立っています。例えば、EPCISはWebサーバと位置付けられます。
EPCISは、ALEからデータを受け取るインターフェイス、データを保存するリポジトリ、業務アプリケーションからの問い合わせに対して応答するインターフェイスから構成されています。それぞれの関係を図に表すと以下のようになります。
図1 EPCISの各コンポーネントの関係 |
このようにEPCISは、ALEとアプリケーションを仲介する位置になります。具体的には、ALEから送られてくるEPCデータをEPCISキャプチャインターフェイスで受信し、用途に応じた形でEPCISリポジトリに記録します。蓄積されたEPCデータは、EPCISクエリインターフェイスを経由して外部の業務アプリケーションなどに提供されます。
それぞれのコンポーネントがどういった役割を持っているのかを詳しく見ていきましょう。
●EPCISリポジトリ
EPCISリポジトリは、EPCイベントの発生時刻や入庫/出庫などの業務ステータス、イベントの発生した場所などを表すトレース情報や、事前に定義されたEPCを親子の階層で関連付ける情報などを記録するデータベースです。EPCglobalネットワークでのモノにまつまわる情報を収納しています。
●EPCISキャプチャインターフェイス
EPCISキャプチャインターフェイスは、ALEから届くECReport形式のデータを取り扱うインターフェイスです。このインターフェイスには、現在のところ入力(capture:EPCIS Event)のみが定義されています。
●EPCISクエリインターフェイス
EPCISクエリインターフェイスには、2つのメソッドが定義されています。
1つ目は、「getObjectEventList」です。このメソッドは、条件に当てはまるトレース情報を取得するメソッドです。これを使用するとEPCタグの付いた物品が、いつ・どこで・どのように運び出されたかが確認できます。
もう1つのメソッドである「getAggregationEventList」を使うと、EPCの関係情報を取得できます。この情報を使えば、EPCIS上に登録されたタグ情報から、モノが流通する経路を効率よくトレースできます。
図2 EPCISの位置付け |
1/5 |
Index | |
タグ情報をトレースするEPCISを稼働させよう | |
Page1 RDSC EPCISとは何か? EPCISの構成要素と機能 |
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Page2 RDSC EPCISのセットアップ EPCISをWeb上に公開する |
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Page3 EPCISアプリケーションのセットアップ BusinessRoutingとReaderの設定 EPCISHelperでBusinessRoutingのパラメータを設定 |
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Page4 BizTalk Server 2006へのセットアップ SQL Serverの設定 |
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Page5 いよいよEPCISの動作確認 RDSC Frameworkで体験するEPCglobal |
RDSC Frameworkで体験するEPCglobal 連載インデックス |
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