日本人のエンジニアがはまりやすい開発の落とし穴を紹介。Developer登録、アプリ開発、AppStore公開、アップデートのチェックポイントは?
iPhoneアプリは大きく分けて下記のような流れでAppStoreに公開されます。
ここではコニットが実際につまずいた点や、ネットでよく見るつまずきポイントなどをご紹介します。これらの点に気を付け、スムーズにiPhone開発ができるといいですね。(コニットの紹介記事はこちら→ニッポンのiPhoneアプリヒットメーカーたちに続け!)
アプリ制作を始めるためには、まずAppleIDを取得し、Apple Developer Connection(ADC)登録後、iPhone Developer Programを購入しなければなりません。
この際に氏名を日本語で書いてしまうと、iPhone Developer Programが購入できず、前に進めなくなってしまうので要注意です。
氏名に限らず、英語のシステムには英語で登録した方が無難ですね。
AppleStoreで自作アプリケーションを販売するということは、アメリカ国内での商取引になります。米国雇用者納税者番号(EIN)を取得して、免税申請書類を提出します。「FormSS-4」の内容を電話、Fax、郵送のいずれかで申請することで、米国のIRSから発行できます。
電話の場合はその場で発行、Faxの場合は2、3日で発行してくれますが、郵送の場合は1カ月程度の時間がかかってしまうので要注意です。
実機でアプリを動かすためには、iPhone Developer Programにてテストに使うiPhoneの識別子を登録する必要があります。
これはiPhoneをiTunesに接続してシリアル番号をクリックすると、40ケタの識別子(UDID)が表示されますが、マシンによってはこれが39ケタしか見えない場合があるので要注意です。
その場合は識別子の文字列をクリックし、Command+Cでコピーすれば全ケタコピーできます。
実機用のビルドには、プロビジョニングファイルが必要になりますが、アプリを実機にインストールするには、同じプロビジョニングファイルをオーガナイザーで実機にもインストールしておかなければなりません。
実機にプロビジョニングファイルがない場合はインストールエラーとなります(以前のXcodeでは、アプリのインストールとともにプロビジョニングファイルも自動でコピーされていました)。
第2世代のiPod touchは、iPhoneより高速なCPUが搭載されているので、実機テストをiPod touchで行っている場合は要注意です。
iPhoneで動かしたらパフォーマンスが悪かったなんてことが起こり得ます。
複数のiPhoneでテストを行っている人は大丈夫かと思いますが、開発&テストを1台の実機で行っている人は要注意です。
ある実機ではサクサク動いているにもかかわらず、ほかの実機で試すとアプリ起動直後にメモリ不足で落ちてしまう場合があります。
シミュレータでは動かないが実機では動く場合があるので要注意です。
加速度センサやGPS機能、メール送信機能、OpenALの再生など、シミュレータで動作しないものがあるので、シミュレータで動かない機能は、実機でも動かないかどうか試してみてください。
バイブレーションやGPS、内蔵マイク、内蔵スピーカー、マナーモードなど、両対応のアプリを作るには気を付けなければならない点が多いので要注意です。
iPhone SDKには、サウンドを再生する実装方法が数種類あります。
それぞれ、マナーモードでスピーカから音が出てしまったり、マナーモード中にイヤフォンから音が出なかったりと微妙な違いがありますので要注意です。
AppStoreで公開するためには、iTunesConnectで会社情報や銀行情報、税務情報を登録しなければなりません。
この登録は約1カ月程度かかるため、リリーススケジュールを考えて十分な余裕を持っておきましょう。
銀行情報の「Zengin Code」には、銀行コード+支店コードをハイフンでつないで入力しないとエラーになるので要注意です(例、01234-567)。
iTunesConnectにバイナリをアップロードする際には、リリース用のプロビジョニングファイルでリビルドしなければならないので要注意です。
開発用のプロビジョニングだとアップロード時にエラーが発生します。
アップデートでは、バイナリのほかにアップデートの説明文などが登録できますが、
公開日付と価格の欄は、現行バージョンも変更されてしまうので注意が必要です。
アップデートの審査が終わる日を想定して、公開日付を未来に変更したりすると、現行バージョンもその公開日までAppStoreから消えてしまいます。価格も同様に注意が必要です。
このように、iPhoneアプリをAppStoreで公開するには、ほぼWeb上で手続きすることができるので非常に便利ですが、半面、一度つまずくとなかなか解決できなくて挫折する人も多いかと思われます。
どうしてもできない場合には、Apple Developer Connectionへ問い合わせてみることをお勧めします。
また、次回からはiPhoneアプリ開発をステップバイステップで説明していきます。デベロッパ登録、サンプルを動かしてみる、アイデアをかたちにするまでのプロセス、動きを確認、素材収集、似たようなサンプルの見付け方、実機インストール、リリース手順、リリース前のプロビジョニング作成など順を追って紹介していきます。お楽しみに。
佐々木義一郎
初仕事から約8年、一貫してJava+Oracleなどのオープン系技術者として従事。大小さまざまな開発プロジェクトを経験し、現在はコニットにて念願の自社製品開発に奮起。手掛けたアプリ、サムライチェス、メロディベルに続き、おならアプリ「メロディっ屁」も販売中。
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