標準サポートが追加されたWindows XPを使えば、無線LANはこう変わる! XPを使った無線LAN導入の第一歩として、前編である今回は基礎を固めよう。
2008年初頭の無線LAN動向を盛り込んだ新記事「部内無線LAN導入実践講座(Windows XP編)」を公開しました。2002年以降の情報については、この新しい記事を参照してください。
家庭・オフィスを問わず、PCを設置・運用するうえで最も面倒に感じられるのは、PCの周囲を取り巻く多数のケーブルだろう。もっとも、周辺機器をできるだけ内蔵することでケーブルを減らせるし、キーボードやマウス、ディスプレイのケーブルについても、ノートPCや一体型PCを使うことで回避する道がある。
だが、LANやインターネット接続の普及に伴って新たに加わった「イーサネットのケーブル」からは、有線LANを使用している限り逃れることができない。デスクトップPCならまだしも、小さなノートPCに太いケーブルが接続されるのは、意外と邪魔に感じられるものだ。また、多数のPCを導入している企業の場合、オフィスのレイアウト変更のたびに配線変更が必要になって閉口した、会議室などにLANの設備がなくて不便な思いをしたなどといった経験がある方も少なくないだろう。
もちろん、筆者とて以前から無線LANというものがあるのは知っていたが、何しろ価格が高いうえにスピードが遅かったため、これまではまったく導入する気が起こらなかったというのが実情だ。
しかし、2000年ごろから無線LAN製品の低価格化が進行したことで、この問題も回避しやすくなった。2000年初めの時点では2万円以上していたIEEE 802.11b対応のPCMCIAカードは、2001年に入ってから1万円台に突入し、2001年末には1万円を切る製品も多くなっている。これなら気軽に導入が可能だ。
また、無線LANを店舗や駅、空港などに設置してインターネット接続機能を提供する「ホット・スポット」サービスが普及し始めたこともあり、2000年後半あたりから、無線LANの利用事例が急増したのはご存じのとおりだ。筆者が2000年11月に「COMDEX/Fall」を訪れたときには、メーカー各社が共同でIEEE 802.11b対応製品の展示を集めたコーナーを設置していたが、翌年には日本国内のイベントでも同様の展示事例が相次いだ。
こうした実情を受けてか、マイクロソフトはWindows XPで無線LANの標準サポートに踏み切った。従来は、メーカーごとに各社が独自に設定用のユーティリティ・ソフトウェアを提供していた無線LANの設定機能をOSに取り込み、機種を問わずに同じ手順で設定できるようにしたものだ。
従来は、無線LANアダプタをPCに取り付けてデバイス・ドライバを組み込むだけでは通信できず、メーカーが提供するユーティリティ・ソフトウェアを使って設定を行う必要があったのだが、Windows XPに完全対応した無線LANアダプタを使用すれば、このうち「ユーティリティ・ソフトウェア」を不要にできる。そのため、デバイス・ドライバを組み込むだけで自動的に無線LANの検出が実行され、そこで接続する相手を選択するだけで無線LANの利用が可能になる。
本稿では、Windows XPのメジャーな強化点の1つである無線LANのサポートについて、実際の運用ノウハウを交えて解説していこう。
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