Active Directoryを利用するには、DNSサーバ上にActive Directory用の特別なレコードが必要になる。何らかの事情により、Active Directoryの構築時にこれらのレコードが作成されていなければ、後から再作成させることができる。手動でDNSサーバを再構成することもできるが、netコマンドを使って自動的に登録させるのが簡単でよい。
対象OS:Windows 2000 Server/Windows 2000 Advanced Server
Active Directoryを運用する場合は、Active Directory用の特別なSRVリソース・レコードなどを定義することができるDNSサーバを利用する必要がある。Active Directoryドメインに参加しているコンピュータは、これらの特別なレコードを使って、ドメインに関する情報を取得するからだ。これらのレコードでは、ドメイン・コントローラやサイト、GC(グローバル・カタログ)などの情報(サービスが提供されているサーバ名やプロトコル種別、ポート番号など)が記録されている。例えばWindows 2000 Serverに含まれているDNSサーバでこれらの情報を確認すると、次のように表示される。
これらのサブフォルダやSRVリソース・レコードなどは、dcpromo.exeコマンドを使用してActive Directoryドメインを構築した際に、DNSサーバに対して、動的更新の機能を使って自動的に登録・設定されることになっている。Active Directoryを新規構築と同時にDNSサーバを導入する場合は(Active Directoryのインストール・ウィザードの途中でDNSサービスの導入ができるようになっている)、適切なデフォルト値設定でDNSサーバが組み込まれるため問題になることはない。しかし、Active Directoryドメインを構築する際に既存のDNSサーバをそのまま使用したり、1度構築したActive Directoryを再構築したりする場合は、DNSサーバの設定によってはこれらのドメイン・サブフォルダが作成されず、結果としてActive Directoryが正しくインストールできなくなる場合がある。
こうした問題が発生するのは、主に以下のようなケースが考えられる。
SRVレコード機能をサポートしていないなど、DNSサーバのバージョンが古い場合は、DNSサーバそのものを更新するしかない(Windows 2000 Serverに含まれているDNSサーバは問題なく利用できるので、可能ならばこのDNSサーバを利用することを検討する)。また、前方参照ゾーンがない場合には、ゾーンを作成すればよいが、そのゾーンが動的更新に対応していなければ、やはり同様の問題が生じる。
いずれの場合も、ドメイン・コントローラ上でDNSサーバやゾーン定義を再確認・設定してから、netコマンドを再実行することにより、必要な設定を行うことができる。以下にその手順を示しておく。
まず、TCP/IPのプロパティとしてDNS動的更新が無効に設定されている場合の対策から説明する。すでに有効になっているなら(Windows 2000のデフォルト状態では有効になっている)、次の手順2へ進む。
こうして表示されるダイアログのうち、[DNS]タブに移動して、下の方にある[この接続のアドレスをDNSに登録する]というチェック・ボックスをオンにする。
DNSサーバ側の設定で動的更新が利用できない場合は、次のようにして動的更新を許可しておく(以下の例ではWindows 2000 ServerのDNSをベースにしている。UNIX/Linuxを中心に広く使われているBINDについては、BINDのドキュメントを参照されたい)。
以上の操作を、前方参照ゾーンと逆引き参照ゾーンのそれぞれに対して実行し、両方で動的更新が使用可能な状態にする。
なお、[セキュリティで保護された更新]を利用できるのは、Active Directory統合DNSだけで、標準プライマリ、あるいは標準セカンダリを指定した場合、動的更新は[はい]と[いいえ]しか選択できない。
次に、Active Directory用のゾーン定義やSRVリソース・レコードなどが存在しない場合の手順について説明する。本来ならばこれらのゾーンやレコードはActive Directoryのインストール時(dcpromo.exe実行時)に自動的に作成されるはずであるが、既存のDNSサーバをそのまま使用したり、1度構築したActive Directoryを再構築したりすると、DNSサーバ側の設定などの問題により、作成されない場合がある。これらをすべて手動で作成することも不可能ではないが、トラブルが発生した場合のことなどを考えると、以下の手順で再設定を行うのがよい。最初にDNSサーバの設定の確認や必要ならばゾーンの定義を行い、次にnetコマンドを実行して必要なレコードを作成させる。
以上の設定・確認を行ってから、次は実際に必要なリソース・レコードを作成する。具体的にはコマンド・プロンプトで以下のコマンドを順番に実行するだけでよい。これは、Netlogonサービス(Active Directory関連のサービスも含む)の再起動とDNSレコードの動的更新を強制的に行わせるための操作で、これにより、必要なドメイン・サブフォルダや各種のレコードがDNSサーバに登録される。
net stop netlogon
net start netlogon
ipconfig /registerdns
実際にはnetlogonサービスの停止と再起動だけでも、必要なリソース・レコードの作成が行われる。最後の「ipconfig /registerdns」は、ドメイン・コントローラのIPアドレスの情報を更新するので、念のために実行しておくのが望ましい(例えばドメイン・コントローラのIPアドレスが変更されたような場合には必要となる。なおこれを実行するためには手順1が必要)。
以上の操作で、正しくDNSレコードが作成されるはずであるが、もしこれでも正しく構築できないようならば、Active Directoryそのものを再構築するところからやり直すのが簡単でよいだろう。dcpromo.exeですべてドメイン・コントローラを降格し、さらにDNSサーバからもすべてのゾーン定義を削除しておく(DNSサービスそのものを停止・削除しなくても、ゾーン定義を消去するだけでよい)。そしてドメイン・コントローラのTCP/IPのプロパティなどを再確認し(IPアドレスやネットマスク、DNSドメイン名、DNSサーバのIPアドレスなどを確認すること)、dcpromo.exeを実行する。基本的には、固定IPアドレスが付けられたWindows 2000 Serverが1台だけあればActive Directoryは構築できるはずである(ドメイン・コントローラを固定でないIPアドレスで運用するのは、トラブルが発生する可能性が高いので勧められない)。この状態でActive Directoryが構築できないようであれば、導入手順そのものが間違っている可能性があるので、よく見直していただきたい。具体的なActive Directoryの導入方法などについては連載「管理者のためのActive Directory入門」などを参照してほしい。
DNSゾーン情報を読み込む元(場所)が正しくない場合にも、同様の問題が発生する場合がある。Windows 2000 ServerのDNSサーバでは、ゾーン情報をActive Directoryもしくはレジストリ、ファイルのいずれかに格納することができる(ただしActive Directory統合モードではファイルは使用しない)。Active Directory用のDNSでは、ゾーン情報はActive Directoryに格納されていなければならないが、ゾーン情報を読み込む場所がレジストリのみになっている場合は、次のような手順で設定を変更する必要がある。
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