エクスプローラで縮小表示を行うと、各フォルダにThumbs.dbというシステム・ファイルが作成される。このファイルには、画像や写真データの縮小イメージが保存されており、再表示を高速に行うために利用される。このファイルは必要に応じて再作成されるので、不要ならば削除してもよい。オプションを設定すれば、このファイルを作成しないようにできる。ただし多数の画像/写真ファイルがあると、縮小表示に時間がかかるようになる。
対象OS:Windows XP/Windows Vista/Windows 7/Windows Server 2003/Windows Server 2008/Windows Server 2008 R2
エクスプローラの表示オプションで、システム・ファイル(システム属性と隠し属性の付いたファイル)を表示するように設定変更していると(オプションの[すべてのファイルとフォルダを表示する]を選び、さらに[保護されたオペレーティング システム ファイルを表示しない]をオフにする)、「Thumbs.db」という名前のファイルが見つかることがある。
このファイルは、エクスプローラの表示形式を[縮小版]にした場合に自動的に作成されるファイルであり、画像や写真ファイルなどの縮小版イメージ(いわゆる「サムネール画像」)のデータが保存されている。フォルダ中に画像データが含まれている場合、次回からは、その内容をすぐに表示できるように、1度アクセスした画像データの縮小イメージが作成され、このファイルに保存されている。
だが、このファイルは必ずしも必要なものではないし、画像/写真ファイルの数が多ければそれだけ大きなサイズになるので、データのバックアップなどの場合には(領域が無駄なので)削除したいこともあるだろう。必要ならばまた次回作成されるので、縮小表示時に時間がかかることさえ我慢すれば、このファイルをユーザー自身が削除しても問題はない。Thumbs.dbファイルが存在しない場合は、縮小表示させた場合に、また作成されるからだ。
だが、いちいちユーザーが削除するのではなく、オプション設定によっては、最初からThumbs.dbファイルを作成させないようにすることもできる。本TIPSではその方法について解説する。
画像や写真データの縮小イメージを保存するThumbs.dbファイルを作成させないようにするには、エクスプローラのオプションを変更する。このためには、エクスプローラの[ツール]−[フォルダ オプション]メニューを実行し、フォルダ・オプション・ダイアログで[表示]タブを選択する。
ここにある[縮小版をキャッシュしない]のチェック・ボックスをオンにすれば、以後、Thumbs.dbファイルは作成されなくなる、だが既存のThumbs.dbが自動的に削除されることはないので、必要ならば検索機能で探し出し、すべて削除しておけばよいだろう。
ところで、このファイルが利用できないと、縮小表示のたびに画像/写真ファイルの内容を読み出す必要があるため、表示に時間がかかるようになる。またネットワーク上のフォルダの場合はトラフィックも多くなるので、そのデメリットを十分考えた上で、設定していただきたい
Windows Vista以降のOSでもThumbs.dbファイルは利用されているが、その管理方法はWindows XP/Windows Server 2003とは少し異なっている。デフォルトではThumbs.dbファイルはユーザー・フォルダの下の特定の場所(%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\Explorer)にまとめて置かれ、各フォルダの下には作成されない*1。しかし設定によってはThumbs.dbが作成されることがあるし、このファイルが原因でフォルダの削除ができなくなる(Thumbs.dbが使用中で削除できないというエラーが表示される)など、トラブルとなることも少なくない。
*1 この縮小表示やキャッシュ・ファイルの扱いはWindows VistaのSP未適用版とSP1適用版で異なるなど、いくらか仕様変更が行われている。以下では最新版のSPが適用されているWindows OS(Windows Vista SP2、Windows Server 2008 SP2、Windows 7 SP1、Windows Server 2008 R2 SP1)を対象として解説する。
Windows Vista/Windows Server 2008以降でこのThumbs.dbファイルの作成を抑制する方法はいくつかある。以前のようにフォルダごとのオプションで[縮小版にファイル アイコンを表示する]を選択すればよいが(OSのバージョンやSPのレベルによっては表示されないことがある)、ユーザーごとのデフォルト設定を変更するには、システムのプロパティを利用する。コントロール・パネルなどでシステムのプロパティを表示させ、[詳細設定]タブにある[パフォーマンス]グループの[設定]ボタンをクリックする。
パフォーマンス・オプションの[視覚効果]グループで「カスタム」を選択し、その中にある[アイコンの代わりに縮小版を表示する]というオプションをオフにする。これでThumbs.dbファイルの作成や使用が抑制されるはずである(これがそのユーザーのデフォルト値になる)。
ただし以上の設定を行っても、ネットワーク・フォルダの場合はフォルダごとに、Thumbs.dbファイルが作成されることがある。このような場合は、ローカル・ポリシーを使って設定するとよい。
そのためにはまず[ファイル名を指定して実行]ダイアログを表示させるか、左下の検索ボックスに「gpedit.msc」と入力して、ローカル・グループ・ポリシー・エディタを起動する(ドメイン全体に対して設定する場合は、ドメインのグループ・ポリシーを編集する。ただしエディションによってはこのツールは利用できない)。そして、[ローカル コンピュータ ポリシー]の下にある[ユーザーの構成]を開き、[管理用テンプレート]−[Windows コンポーネント]−[エクスプローラー]のツリーを表示させる。
右側にいくつかのポリシーが表示されているが、縮小表示に関する設定が4つほどある(OSやSPなどで利用されるポリシーが異なる)ので、念のために、それらを全部「有効」にしておこう。
ポリシー設定 | 意味 |
---|---|
[縮小表示を無効にしてアイコンのみを表示する] | エクスプローラにおける縮小表示やキャッシュの作成を無効にする。Windows Vista/Windows Server 2008以降でのみ利用可能。HKEY_CURRENT_USERのSoftware\Microsoft\Windows\CurrentVersion\PoliciesにあるExplorer\DisableThumbnailsというレジストリ値に相当。存在しない場合はDWORD型の値を作成し、内容を1に設定する。この設定を有効にすると、パフォーマンス・オプションの「アイコンの代わりに縮小版を表示する」は常にオフになる |
[ネットワーク フォルダーで縮小表示を無効にしてアイコンのみを表示する] | 共有フォルダ(ネットワーク・フォルダ)に対して、エクスプローラにおける縮小表示やキャッシュの作成を無効にする。Windows Vista/Windows Server 2008以降でのみ利用可能。DisableThumbnailsOnNetworkFoldersというレジストリ値に相当。存在しない場合はDWORD型の値を作成し、内容を1に設定する |
[非表示の thumbs.db ファイルで縮小表示のキャッシュを無効にする] | 共有フォルダ(ネットワーク・フォルダ)でThumbs.dbファイルの使用(作成/読み書き)を抑制する。Windows Vista SP1/Windows Server 2008 SP1以降でのみ利用可能 |
[縮小表示の画像のキャッシュをオフにする] | 縮小表示やキャッシュを無効にする。Windows XPやWindows Server 2003以降で利用可能。NoThumbnailCacheというレジストリ値に相当。存在しない場合はDWORD型の値を作成し、内容を1に設定する |
縮小表示に関するポリシー設定 縮小表示を無効にするには、これらの設定を変更する。グループ・ポリシー・エディタが使えない場合は相当するレジストリ・キーを変更する。 【2012/05/25追記】レジストリ・キーの位置は、互換性のためか、ここで示した以外にも何カ所か存在するようである。設定を変更しても効果が得られない場合は、レジストリ・エディタで「DisableThumbnails」「DisableThumbnailsOnNetworkFolders」などの値名を検索して、チェックしていただきたい。 |
■更新履歴
【2012/05/25】「縮小表示に関するポリシー設定」の表において、レジストリの値の名前を「ExplorerDisableThumbnails」としておりましたが、正しくは「Explorer\DisableThumbnails」でした。お詫びして訂正いたします。
【2011/06/03】Windows Vista/Windows 7/Windows Server 2008/Windows Server 2008 R2に関する記述を追加しました。
【2006/02/04】初版公開。
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