BtoBでもシェア1位を目指すオラクルのExchange

2001/1/26

 日本オラクルは、1月25日、BtoBソリューションを発表した。米オラクルが先日発表した次世代BtoBの日本での取り組みで、製品、サービスと盛りだくさんの発表内容となった。

オラクルのBtoBは「ビジネスプレイス」

 同社の提唱するソリューションは、MRO(間接財)調達にとどまらず、企業内システムやERP、SCMなどeビジネスの全域をカバーするもの。同社ではこれを「ビジネスプレイス」と名付けている。

 ビジネスプレイス・ソリューションを構成する製品群は、「Oracle Exchange」「Oracle Internet Procurement」「Oracle E-Business Suite」「Oracle Portal」の4つ。このうち、中心となるのは「Oracle Exchange」で、プラットフォームとなる「e-Hub」と、オークション、電子カタログ管理、SCMなど、企業間でのコラボレーションを実現するアプリケーションが含まれる。

代表取締役社長の新宅正明氏同日、新宅氏が米オラクルのシニア・バイスプレジデントに就任したことも発表された

 これらの製品群により、デザイン、販売、計画、購買、決済・物流の全ビジネス・フローをサポートする。また、煩雑になりかねないビジネスプレイス上の各種サービスをポータル化して表示するポータル機能も備えた。同社ではBtoBを、N対N、1対N、M対M(マーケットプレイス対マーケットプレイス)の3型式で捉えており、最終形であるマーケットプレイス間の統合(M対M)にも対応できるという。「アリバなどの製品はバイサイド(購買側)のマーケットプレイスしかサポートしておらず、ERP、コラボレイティブなSCMなどと接続する必要がある。オラクルなら、全部自社製品で統合できる」(同社営業統括本部eビジネス統括部ディレクターの内田雅彦氏)。

 製品は順次出荷され、今年中には出揃う予定。

オラクルが運営するBtoBサイト、「OracleExchange-jp.com」

 同社が発表したもう1つの取り組みが、「OracleExchange-jp.com」の事業運営。米オラクルが2000年6月に開始したBtoBのマーケットプレイス「OracleExchange.com」の日本版として、日本オラクルが日本国内向けに新たに開設する。「OracleExchange.com」は、登録ユーザー3000社で、これまでの取引総額は13億ドル。

 同社では新たに2つの組織を発足させ、付加価値のあるマーケットプレイス運営を目指す。「オラクル・エクスチェンジ・パートナーシップ・イニシアチブ・ジャパン(OEPI-J)」は、コマース/イネーブル/ビジネスの各実務サービスを提供する企業で構成される。金融やSI、データセンター業者など、すでに約30社が参加を表明しており、この2月に正式発足させる予定。

 「オラクル・サプライヤーズ・ネットワーク・ジャパン(OSN-J)」では、アスクルなど商品提供する企業の組織。同組織の提供するサービスは、「OracleExchange-jp.com」のユーザーだけでなく、「Oracle Exchange」を用いて構築されたマーケットプレイスのユーザーも利用が可能という。

 「OracleExchange-jp.com」の登録とホスティングは無料で、課金は総購買額に応じて行われる。2001年3月より試行サービスを開始し、6月から本格的に始動する。同サービスはASPでも提供される予定。展開としては、購買/供給の各社の参加を広く呼びかけ、マーケットプレイスだけで採算が取れることを目指し、その後、付加価値サービスを付けて行く手順をとる。

標準となるか、オラクルプラットフォーム

 「ナンバー1を目指す」と同社代表取締役社長兼CEOの新宅正明氏の言葉にある通り、満を持しての発表だったようだ。同社では今年度、BtoB関連事業で売上の60%、60〜100%の成長率を見込んでおり、今後1、2年のフォーカスはBtoB分野にあてていくという。また、マーケットプレイス事業者、ユーザーが利用できるスペースとして「オラクルB2Bコラボレーション・センター」の開設(東京・本社地区)を来月にも行い、差別化を図る。ここでは、システム構築などの幅広い技術・統合支援を行っていく。

 日本でも2000年から活気付いた感のあるBtoBだが、実績が出ていないとの指摘もある。米国では一時の熱気は冷め、“BtoBはBack to the Basic”とも言われている。新宅社長は「現在、日本企業は製品選択の段階」といい、内田氏は「今までのマーケットプレイスは場所とカタログの提供にすぎない」という。「活性化のためにはトランザクションが必要」と内田氏、「そのために重要なのはメンバー。オラクルは、売り手と買い手、そして場所を提供できる」と自信のほどを見せた。

(編集局 末岡洋子)

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