複雑なシステム環境におけるシンプルな管理を目指すBMC

2002/5/25

 BMCソフトウェアはシステム管理ソフトウェアの最新版「PATROL 7」初期バージョンの出荷を開始した。PATROL 7では、アーキテクチャそのものが再構築され、モジュール形式を採用している。BMCでは新製品を4段階に分けてリリースする予定で、今回は“Tuscany(トスカーナ)”と呼ばれる土台部分のリリースとなる。

同社 代表取締役社長 澤辺正紀氏

 PATROL 7の最大の特徴は、機能を選択できるモジュール形式を採用した点。ユーザーは必要な機能を選択した実装が可能となる。新技術の追加、統合も容易で、拡張性に優れているという。全モジュールにPATROL 7アーキテクチャが入っているため、規模の大小にかかわらず、管理機能の長所が享受できるという。同社 ビジネス開発本部 ソリューションアーキテクト 松本浩彰氏は、「顧客側の知識が高くなり、“何を・どう管理したいか”という明確な目的を持つユーザーが増えた」と語り、新製品はそのようなニーズに対応できるもの、と開発の背景を説明した。

 アーキテクチャとしては、共通ユーザーインタフェイスを持つ3階層のアーキテクチャを取る。同社 マーケティング本部 ディレクター 藤野雅俊氏によると、エンタープライズ・マネジメント層、ミッドレベル・マネジメント層、ノード層で構成されるが、「ヒエラルキーのアプローチではない」という。クライアント(サーバ)が中間に位置する管理サーバのメッセージング・ブローカーを通じてやり取りする、「協調性のあるエンタープライズシステム管理、“管理組織(Management Fabric)”の概念」(同氏)。藤野氏によると、3階層アプローチのメリットは、拡張性のほかに、セキュリティ管理にもあるという。

 新製品では、単一ユーザーインタフェイスのほかにも、共通インストールや共通の通信プロトコルなど、管理のシンプル化を実現する機能が強化された。「システム環境は複雑化しており、管理には単一化が求められている」と藤野氏。ストレージベンダなどハードウェアベンダが独自管理ソフトウェアを強化しつつあるが、「(特定製品の管理ではなく)全体の運用管理や監視が必要。その点からも、ベンダとは協業関係にある」と述べた。

 その他、エージェントの機能やセキュリティ機能が強化されている。また、Windows XP、SuSE製Linux Enterprise Serverなどの対応プラットフォームも追加されている。

 製品は4フェイズに分けて提供されることになっており、今年の秋には、ミッドレベル・マネジメント層部分がリリースされる予定。

 同社 代表取締役社長 澤辺正紀氏は、「(日本法人が新会社として発足して)3年目の今年は、ビジネスモデルを変える挑戦の年」と語り、“High Potentialソリューション・ビジネス”として、専任の新体制を組み、ERP、ストレージ、セキュリティ、ネットワークおよびLinuxの5分野に注力していく方針を明らかにした。

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BMCソフトウェア

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