ITエンジニアの派遣サービスを行うパソナテックは4月17〜18日の2日間、新人研修の一貫として、ロボット作りを体験できる講習会を実施した。
参加したパソナテックの新入社員19名のうち、18名が文系学部出身で、配属先は全員営業。モノ作りの経験はない。研修の狙いについて、同講習会で講師を務めたロボテスト 取締役 兼 富士重工業 相談役 竹中恭二氏は「エンジニアに特化した派遣会社の営業という、企業とエンジニアの仲介を担う若者たちに、エンジニアの仕事を理解してもらい、(エンジニアの)キャリアチェンジのサポートに生かしてもらいたい」と述べた。「エンジニアはゼロからモノを作る楽しみを知っているが、営業は商品(最終成果物)しか見えない位置にいる。彼/彼女らがこれから仕事でエンジニアと付き合っていくためには、エンジニアが感じる仕事のやりがいを理解することは必須。エンジニアの能力を最大化できるようなサポートをしてほしい」と述べた。また、パソナテック 事業企画部 部長 入江直樹氏は、「ロボットなどエンジニアが作っているものは私たちの生活に密接に関係していることを知ってほしい。そして、モノ作りをとおして、エンジニアの仕事の面白さを体感してもらいたかった」と述べた。
講習会は、講義と演習の2部構成だった。講義の時間では、ロボット産業の現状や、エンジニアがロボットをどういう思いで作っているのかなど、「モノ作りの魂」が伝えられた。講師を務めた竹中氏は「エンジニアがロボット作り自体を楽しんでいることは事実だが、ロボットは企業や社会のニーズがあって作られるもの。ビルの清掃、自動車など私たちの身近なところに浸透している」と話す。
演習の時間には、C言語と制御システムの学習の後、実際に「倒立二輪走行ロボ」を製作した。倒立二輪走行ロボットは、センサー制御で倒れないようにするのがポイント。教材にロボットを選んだ理由は、自分たちの作ったものが動くところを実際に目で見られるからだという。
講習会を体験した新入社員2人にインタビューをした。講習会を受ける前と受けた後でエンジニアに対するイメージはどう変わったのだろうか。法学部法律学科出身の和田さんは「正直いって、講習会を受ける前はエンジニアの姿をイメージがしづらかった。IT業界は未知の世界。エンジニアは、論理的かつ冷静で、あまり熱い気持ちを持っていそうにないと思っていた。しかし、大竹さんの話を聞いて、使命感と情熱に燃えている人たちだと分かった」とコメントした。人材サービスとモノ作りは、無形と有形の違いこそあるが、人の役に立ちたいという思いが強いことは同じだということか。
大学で国際関係について学んだ中村さんは、「もっと勉強してエンジニアと対等に話せるようになりたい。むしろエンジニアになってみたい」と話した。小学校など早くからモノ作りの経験があればエンジニアになっていたかと尋ねると、「それはない。いまの自分だからエンジニアの仕事に興味を持った」ときっぱり答えた。
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