運用管理ソフトウェアの開発、販売を行っているBSPグループは7月18日、「システム管理者感謝の日」第2回イベントを開催した。同社では7月最終金曜日を「システム管理者感謝の日」と定め、昨年からイベントを開催している。
冒頭、BSP 代表取締役社長の竹藤浩樹氏が主催者として登壇。「システム管理者は何かトラブルがあれば徹夜で対応し、直ってもそれが当然と、お礼をされない。そのせいで、非常に元気がない。システムが動いているのは彼らのおかげなのだから、彼らを元気にする場を作っていきたい」とイベントの趣旨を説明した。
基調講演では、日本女子大学 人間社会学部 現代社会学科の大沢真知子教授が「ワークライフバランスの実践〜仕事と生活の両立のために〜」と題した講演を行った。
自身を「ワーカホリック」と称する大沢氏は、自身の12年間のアメリカでの研究生活から、ワークライフバランスについての気付きを得たエピソードを紹介。「当時の恩師に『仕事とはどういうものか』と質問されて、『一生懸命やるものです』と答えたら、ノーといわれた。彼は『効率的にやるものだ』と教えてくれた」と語り、そこからワークライフバランスについて考え始めたという。また、友人のフォトジャーナリストが亡くなったときに、「多くの友人が彼のことを『いいやつだった』と思い、いまも彼のことを覚えている」というエピソードに触れ、「いかに豊かに生きて、自分が周りにどう記憶されるかを考えるようになった」と話した。
また、大沢氏は東京スター銀行のタッド・バッジ氏の言葉を引用し、「ワークライフバランスとは、人生の中に4つの領域を持つことだ」と説明した。4つの領域とは「仕事」「自分(健康、自己啓発)」「人間関係(家族、友人)」「社会貢献(次の世代に良いものを残す)」であるという。また、短期間でこれらのバランスを取ろうとすると、かえって自分を追い詰めることになってしまうので、「無理にバランスを取ろうとしてはいけない。4つの玉でジャグリングをするように、落とさないようにすることを意識してほしい。例えば自分のことに、1日のほんの10分でもいいから時間を当てる。4つのうち、ゼロになるものがないようにするのが大切」と強調した。
ワークライフバランスは「時間」という観点で、仕事の時間と余暇の時間のバランスを取ることと思われがちだが、大沢氏は「それは誤解」と断言。「自分の人生の主導権を握り、コントロールをすることがワークライフバランスにつながる。日本の文化からすると難しい部分もあるが、そういう意識を持つことが重要」とした。また、ワークライフバランスは「これをすればよい」という決まりが存在しないので、「それぞれの職場で、スタッフ1人1人が話し合って決めるべきこと」だと主張した。
イベントの終盤では、「システム管理者の眠れない夜」の著者である柳原秀基氏が「システム管理者の集い(仮称)」推進委員会の設立について説明。システム管理者のコミュニティを作り、「大沢さんの話した『4つの領域』のうちの、『仕事』以外の3つを満たす場を作りたい」と話した。発足は2008年11月を目指すという。
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