@ITニュースのアクセスランキング集計
2008年読まれた記事は「Windows 7」と「10年泥」
2008/12/26
年が改まったといっても業界の景気がいきなりよくなったり、自分の能力が2倍になったりすることはないのだけど(むしろ低下)、やはり何らかのけじめは必要です。@IT NewsInsightが2008年に掲載した記事のアクセスランキングをまとめたところ、いくつかの傾向が分かりました。2009年はこうなる! 大胆予測! なんてことは私の能力的にできませんが、世の中が変わりつつある雰囲気は感じませんか?
OS vs Webブラウザ
1位は毀誉褒貶の4文字の最初と最後しか聞かれないWindows Vistaに次ぐバージョンとしてマイクロソフトが開発している「Windows 7」についての記事、「Vistaに見切りをつけたMS、『Windows 7』登場は来年か」です。記事の出だしは「Vistaは死んだ」と身も蓋もありません。米国eWEEKの翻訳記事なのですが、さらに「さようならVista。君と会えて楽しくなかったよ」と追い打ちをかけます。マイクロソフトがWindows Vistaの不評を予測して、前倒しでWindows 7の開発やマーケティング活動を行ってきていると説明します。その上でWindows 7に求められる改善ポイントを挙げています。
マイクロソフトのOS関係ではほかに11位に「XP SP3インストール問題に非難続出」と、18位に「またまた延びるWindows XPの寿命」がランクインしています。なんだかんだいわれても利用シェアは圧倒的。Windowsの動向は気になります。
注目したいのは、OS関係の記事と並ぶ形でWebブラウザ関連の記事が複数ランクインしていることです。特に14位の「HTML5が持つ本当の意味」や16位の「SaaSに追い風、桁違いに速い次世代Webブラウザたち」、17位の「Chromeはなぜ速いのか」などはWebブラウザが今後進む方向を指し示していると言えるでしょう。12月の掲載ながらランクインした「Chromeはなぜ速いのか」は、Chromeの開発思想に「スピードとは、つまりお金だ」という洞察があり、徹底したこだわりでユーザーをイライラさせないWebブラウジングを実現していると説明しています。
「プラットフォームはOSではなくWebブラウザ」。2008年はこういう考えが定着した年といってもいいのではないでしょうか。ユーザーが行う重要な行動はすべてWebブラウザ上で行われています。「Browser as a Platform」(BaaP)という言葉を安直に思いつきましたが、響きが悪く、引っ込めた方がいいでしょうね。そういえば、Webブラウザ上に仮想的なデスクトップを再現するというサービスは使われているのでしょうか。数年後には主流になっているかもしれないので「本末転倒」という指摘はいまはしない方がいいのかもしれませんが、行く末が気になります。
IT業界、今年の漢字は
IPA(情報処理推進機構)の西垣浩司理事長はおもむろに筆を墨汁に浸し、一畳サイズの半紙に向き合った。息を整え、一気に筆を振り下ろす(イメージです)。現れた漢字は―「泥」。2008年はIT業界の構造、エンジニアの処遇についての記事が多く読まれました。今年の漢字を決めるなら「泥」かもしれません。
アクセスランキングには「泥」系記事の発端となった「『10年は泥のように働け』『無理です』――今年も学生と経営者が討論」のほかに、「『プログラマ35歳定年説』を思い起こさせるIPAの調査結果」「IT企業、新卒採用苦戦の理由は『仕事のイメージが悪い』」らがランクインしました。いずれの記事もIPA関連のレポートです。
「泥」系の記事については「IT業界のネガティブキャンペーンではないか」などの批判もいただきました。2008年、泥まみれになった@IT自分戦略研究所の岑康貴記者は、その後もIT業界についての記事を執筆。詳しくは12月に掲載した「『10年泥』を超えて」をお読みください。私自身は、IT業界がこれまで当然としてきた構造と、エンジニア個人の考え方、ビジネス環境のズレが大きくなってきていることを感じています。いまはそのズレが修復されつつある過渡期と思っています。
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