相次ぐ報道に情報漏洩を心配する部長から、社内のクライアントPCの利用アプリケーションを監視できるようにしてほしいとの命令が……。
律子さんの会社ではあまり規制もなく、それなりに自由にインターネットへ接続させているのですが、このところ情報漏洩(ろうえい)が話題になっているのもあって、会社として規制を考えなければいけなくなってきそうな勢いです。
何にせよ律子さんの仕事は増えるばかりで困ったものなのですが、博君がうまく機能してくれるわけでもなく、頭を悩ませています。
すると図ったように部長がやって来ます。
部長 「律子さん、最近さあ、PtoPで情報漏洩っていうのがはやってるみたいだね」
やはり情報漏洩について何かやらせようとしているようです。できる限り仕事は増やしたくないので、なるべく当たり障りのない会話に持ち込みたいところです。
律子 「はやってるっていうのはどうかと思いますが……。まあ、最近よくニュースになってますけど」
部長 「そうでしょ、上に立つ者としては心配なんだよね」
律子 「でも、個人情報とかあまり取り扱ってないみたいですし、そんなに心配しなくてもいいんじゃないですか」
部長 「うちの会社でも起こりそうな気がするんだよね、博はどう思う?」
博君 「まあ、以前も会社で使ってる人がいましたし、家に仕事持ち帰ってる人も多いですから、起こってもおかしくないですよね」
あ、博君が余計な口出しをします。対策するのは私なのに、この、バカ。そして、予想どおり、部長は律子さんにいってきます。
部長 「何とかしたいんだけど、何とかならない?」
博君 「一応PtoPは使わないようにって警告は出してるんですけどね」
律子 「PtoPの通信を止めたらいいかな」部長:「通信を止めてもそれを回避しようとするだろうしね」
部長 「そこでなんだけど、みんなが自分のPCで何やってるか、監視できるようにしてほしいんだよね」
律子 「それってみんな嫌がると思うんですけど……」
部長 「仕事でしか使わないことになってるんだから、監視されても文句いわれないでしょ」
律子 「まあ、建前ではそうなってますからね」
部長 「ということで、予算は出せないけど、みんなのPCを監視できるようにしといてくれ。私は出掛けるので、じゃ」
そういうと、部長は風のように律子さんの前から姿を消してしまいました。相変わらず人使いが荒いです。
律子 「はあ、監視って……。1人1人のPCを順番に巡っていくしかないのかしら」
ダメ元で博君に監視ソフトを聞いてみると、饒舌(じょうぜつ)にいろいろと教えてくれます。どうやら好きな子がいて、その子のPCをのぞき見するためにいろいろ調べているらしいのです。
博君 「けど、結局彼女のPCにソフトをインストールさせてもらえないので、何も見せてもらってないんですけどね」
律子 「それってストーカーじゃない……。まあ、いい。それ、教えなさい」
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