ここまで、具体的な応用事例を通じてマインドマップを説明してきました。あらためてマインドマップの特徴をまとめておきます。
マインドマップの特徴を筆者は「マインドマップの三大効果」と呼んでいます。
ビジネスの現場では、記憶力が問われることは少ないですが、1、3の効果は非常に重要視されています。
特に情報の整理整頓という意味で、マインドマップはほかにない優れたツールであると思います。整理整頓という意味をあらためて考えてみますと、「整理」とは不要なものを捨てることであり、マインドマップのルールである、キーワードだけを書くことに当てはまります。「整頓」とは残ったものを使う目的に沿って並べ替えることを意味し、マインドマップにおいては、キーワードを放射状に線に沿って、意味の近いものを関連させるグルーピングを行って並べ替えることになります。
整理整頓は、いわゆる「5S運動」(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の1つであり、工場などの生産現場では当たり前の基本項目です。しかしホワイトカラーにとっては、情報の整理整頓の当たり前の方法というものがこれまでにあったでしょうか。筆者は、まさにマインドマップこそ、ホワイトカラーにとって重要な「情報の整理整頓」そのものではないかと思っています。
情報の整理整頓を行うことで読み書きのスピードがアップし、ビジネスを効率化できることが、マインドマップが最近ビジネスの現場で注目されている理由であると考えています。
マインドマップには2のように、記憶力を高める効果もあります。今回は記憶力を高めるためのマインドマップの書き方については触れませんでしたが、文字のほかに図や絵を使ったり、文字を書く際も色を使ったりすることで記憶力を高める方法があるのです。教育の現場では、マインドマップを記憶力を高めるツールとして活用している事例も多いです。
私たちが小さいころから実践してきた、時系列に一言一句を書き留めるこれまでのノート記法に比べると、マインドマップは手際よくまとめながら書き、記憶力、発想力をも向上させる優れたノート記法だということがお分かりいただけたと思います。
しかしながら、この優れたノート記法も使いこなさなければ役に立ちません。ITエンジニアの皆さんにもマインドマップを利用していただくため、一見とっつきにくいマインドマップの作成を支援するソフトウェアを紹介します。
マインドマップは、紙とペンがあればいつでもどこでも書くことができますが、PCで記述することで、他人でも見やすいものにすることができます。
有名なマインドマップ記述ソフトウェアとして、「MindManager」と「FreeMind」があります。MindManagerは有償のソフトウェアの中では最も知名度が高く、洗練されたインターフェイスが整っており使いやすい仕様になっています。
筆者の会社でも、このMindManagerを使ったマインドマップによる資料作成や情報交換が頻繁に行われています。
FreeMindは、インターネット上で公開されているフリーのマインドマップ記述ソフトウェアです。お金がかからないため、初心者やこれからPCでマインドマップを作成しようとしている人に人気があります。
マインドマップをPCで記述することのメリットは、以下の3つです。
筆記と違って字や線の乱れなどが出ないため、仕事で使うマインドマップはPCで記述することが一般的です。他人に見せたときに、字が読めないなどのトラブルがなく、理解を促しやすいというメリットがあります。
また電子メールやインターネットでのやりとりですが、筆記の場合は紙ベースなので書類の管理などの問題から、その場限りの書類として捨ててしまったり、なくしてしまったりするときがあります。しかし、PCで作成すればデータ形式での保存が可能になりますので、紛失のリスクを回避できます。他者のマインドマップも簡単に閲覧できるので、情報交換や共有に役立ちます。
最後にマインドマップの編集についてですが、筆記の場合はどうしても書いた後に直す作業がしづらくなります。絵や色を使って筆記する場合は、間違えると一から作り直しとなることもあります。しかしPC上で編集した場合、線の移動なども簡単にできるため、書いた後に直すという作業が簡単にできます。
筆記とPCのどちらが良いというのではありませんが、双方の良さをうまく利用し、マインドマップを使いこなしてください。 以下にそれぞれのソフトウェアのダウンロード先を記載します。
筆者がマインドマップを使い始めてから数年以上がたちますが、基本的な使い方は相変わらずシンプルです。筆者の会社では技術者、営業から事務まで、すべてのスタッフがマインドマップを活用しています。
誰もが活用できるシンプルなところがマインドマップの利点です。情報の整理整頓のツールとして、ぜひ一度紙とペンを手に取り、あるいはソフトウェアをダウンロードして、マインドマップを実際に書いてみることをお勧めします。
最後に、本原稿を書く際に作成したマインドマップを添付しておきます。
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